2020年2月13日、中外製薬株式会社は、ポラツズマブ ベドチンの国内第2相臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)において、主要評価項目であるPrimary Response Assessment(PRA)時点におけるPET-CTによる完全奏効率(CRR: complete response rate)を達成したことを発表した。
本試験は、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)を対象に、ポラツズマブ ベドチンとベンダムスチン、リツキシマブ(以下、BR療法)との併用療法について検討した単群非盲検試験を指す。
BR療法にポラツズマブ ベドチンを併用することにより、これまでに行われているポラツズマブ ベドチンの試験と比較して新たな安全性上の所見は示されなかった。
ポラツズマブ ベドチンは、2019年11月に厚生労働省よりDLBCLに対する希少疾病用医薬品に指定されている。
また、米国では2019年6月に迅速承認を、欧州では2020年1月に条件付き承認をそれぞれ取得している。
国内では、P-DRIVE試験に加え、未治療のDLBCL患者を対象とした第3相国際共同試験(POLARIX)に参加している。
【参考情報】
ポラツズマブ ベドチンが厚生労働省よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する希少疾病用医薬品に指定(2019年11月20日プレスリリース)
JO40762(P-DRIVE)試験について
再発又は難治性DLBCL患者35名を対象として、ポラツズマブ ベドチンとBR療法を併用投与する第2相多施設共同単群非盲検試験。
本試験の主要評価項目は治験責任/分担医師評価によるPRA時点(治験薬最終投与後6~8週)におけるPET-CTによるCRRである。
治療は3週間を1サイクルとし、合計6サイクルまで投与を行った。
ポラツズマブ ベドチンについて
ポラツズマブ ベドチンは、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)。
CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得る1, 2。
ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられている3, 4。
シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発したポラツズマブ ベドチンは、現在国内外において、複数のタイプの非ホジキンリンパ腫を対象として臨床開発が行われている。
出典
1.Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
2.Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
3.Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
4.ADC Review. What are antibody-drug conjugates?
参照元:
中外製薬ニュースリリース