・複数治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者が対象の第1相試験
・抗TROP2抗体薬物複合体DS-1062単剤療法の有効性・安全性を検証
・DS-1062単剤療法の抗腫瘍効果は2.0~10.0mg/kg用量群の間で確認
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて、複数治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体であるDS-1062単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03401385)の結果がUniversity of California, Los AngelesのAaron Elliott Lisberg氏らにより公表される。
本試験は、複数治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対してDS-1062 0.27~10.0mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。なお、用量拡大フェーズ63人の患者の用量内訳は下記の通りである。DS-1062 0.27mg/kg群(N=4人)、0.5mg/kg群(N=5人)、1.0mg/kg群(N=7人)、2.0mg/kg群(N=6人)、4.0mg/kg群(N=6人)、6.0mg/kg群(N=19人)、8.0mg/kg群(N=8人)、10.0mg/kg群(N=8人)。そして、DS-1062の最大耐用量(MTD)である8.0mg/kgの用量で治療に到達した患者は32人を示した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は評価可能であった88人の患者の内、22人の患者で部分奏効(PR)を達成し、用量別の部分奏効率(PR)は下記の通りである。2.0mg/kg群で6人の内1人、4.0mg/kg群で6人の内2人、6.0mg/kg群で18人の内5人、8.0mg/kg群で34人の内13人、10.0mg/kg群で8人の内1人の患者で部分奏効(PR)を達成した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は80%(N=76/95人)、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は18%(N=17/95人)、重篤な有害事象(SAE)発症率は8%(N=8人)を示した。なお、間質性肺疾患(ILD)が8%(N=8人)の患者で確認され、その用量別の内訳は6.0mg/kg群で2人、8.0mg/kg群で6人である。
以上の第1相試験の結果よりAaron Elliott Lisberg氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は、抗TROP2抗体薬物複合体であるDS-1062を人に投与した最初の試験になります。複数治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体であるDS-1062単剤療法の抗腫瘍効果は2.0~10.0mg/kg用量群の間で確認されました。”