・局所進行性/転移性食道がんまたは食道胃接合部がん患者が対象の第3相試験
・食道扁平上皮がん患者におけるキイトルーダ+化学療併用の有効性・安全性を比較検証
・PD-L1発現陽性患者において、43%死亡リスクを改善した
2020年9月19日~2020年9月21日、バーチャルミーティングにて開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて局所進行性/転移性食道腺がんまたは扁平上皮がん(ESCC)、食道胃接合部がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-590試験(NCT03189719)の結果が国立がん研究センター中央病院の加藤健氏らにより公表された。
KEYNOTE-590試験とは、局所進行性/転移性食道腺がんまたは扁平上皮がん(ESCC)、食道胃接合部がん患者(N=749人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+シスプラチン80mg/m2+5-FU800mg/m2併用療法を投与する群(N=373人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+シスプラチン80mg/m2+5-FU800mg/m2併用療法を投与する群(N=376人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現(CPS≧10)陽性食道扁平上皮がん(ESCC)群の全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値10.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPD-L1発現(CPS≧10)陽性食道扁平上皮がん(ESCC)群の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+化学療法群13.9ヶ月に対して化学療法群8.8ヶ月、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを43%(HR:0.57、95%信頼区間:0.43-0.75、P
食道扁平上皮がん(ESCC)群の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+化学療法群12.6ヶ月に対して化学療法群9.8ヶ月、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを28%(HR:0.72、95%信頼区間:0.60-0.88、P=0.0006)改善した。
副次評価項目として食道扁平上皮がん(ESCC)群における無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ+化学療法群6.3ヶ月に対して化学療法群5.8ヶ月、キイトルーダ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%(HR:0.65、95%信頼区間:0.54-0.78、P
客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ+化学療法群45.0%に対して化学療法群29.3%(P
一方の安全性として、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ+化学療法群72%に対して化学療法群68%。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はキイトルーダ+化学療法群19%に対して化学療法群12%。
KEYNOTE-590試験の結果より加藤健氏らは「局所進行性/転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を化学療法に比べて改善し、本患者の新しい治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。