・複数治療歴のある濾胞性リンパ腫患者が対象の第1b相試験
・Mosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率68%、完全奏効率50%を示す
2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて複数治療歴のある濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するCD20とCD3を標的とする二重特異性抗体であるMosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した臨床試験の結果がJewish General HospitalのSarit E Assouline氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴のある濾胞性リンパ腫(FL)患者に対して21日を1サイクルとして1、8、15日目にMosunetuzumabを0.4/1.0/2.8mg~1/2/13.5mg単剤療法を投与し、客観的奏効率(ORR)、有害事象(AE)発症率などを検証した臨床試験である。
本試験に登録された62人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は59歳(27~85歳)。前治療歴中央値は3レジメン(2~11)。抗CD抗体、アルキル化剤療法に難治性(二重難治性)である割合53%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
客観的奏効率(ORR)は68%(N=42人)、奏効の内訳は完全奏効率(CR)は50%(N=31人)である。なお、完全奏効(CR)を達成した患者背景は治療開始から24カ月以内の増悪または死亡(POD24)患者、PI3K治療に対して抵抗性のある患者、CAR-T療法歴ある患者などハイリスク患者も含まれている。奏効持続期間(DOR)中央値は20.4ヵ月(95%信頼区間:11.7ヵ月~未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は11.8ヵ月(95%信頼区間:7.3~21.9ヵ月)を示した。
一方の安全性として、全グレードの有害事象(AE)発症率は97%(N=60人)、重篤な有害事象(SAE)発症率は35%(N=22人)を示した。10%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は低リン血症23%、好中球減少症21%であった。
以上の臨床試験の結果についてSarit E Assouline氏らは「複数治療歴のある濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するCD20とCD3を標的とする二重特異性抗体Mosunetuzumab単剤療法はハイリスクのサブグループも含め持続的な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。