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進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する導入療法としてのバベンチオ+R-CHOP療法、客観的奏効率89%を示す

この記事の3つのポイント
・進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者が対象の第2相試験
・バベンチオ+R-CHOP療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率はR-CHOP療法後89%、バベンチオ単剤療法後60%であり、
 免疫関連有害事象発症率は30%未満であった

2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるバベンチオ(一般名:アベルマブ、以下バベンチオ)+R-CHOP療法の有効性、安全性を検証した第2相のAvr-CHOP試験の結果がEastern HealthのEliza A Hawkes氏らにより公表された。

Avr-CHOP試験とは、未治療のステージII~IVのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対して導入療法としてバベンチオ10mg/kg+リツキサン375mg/m2併用療法を2サイクル行った後、R-CHOP療法を6サイクル、維持療法としてバベンチオ10mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目としてグレード3~4の免疫関連有害事象(irAE)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効維持生存期間(FFS)、全生存期間OS)などを検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する導入療法としてのR-CHOP療法の完全寛解率は60%程度であり、新規治療法の開発が必要である。一方、複数治療歴のある進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法は抗腫瘍効果が限られている。基礎試験の結果では、抗PD-L1抗体薬バベンチオはリツキサンと併用することで抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性による相乗効果が示されている。以上の背景より、進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗PD-L1抗体薬バベンチオ+R-CHOP療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された28人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は54歳(20-79歳)。進行病期はステージIII/IVが68%。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の病理学的分類はDLBCL NOS75%(N=21人)、PMBCL21%(N=6人)、EBV陽性DLBCL4%(N=1人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目であるグレード3~4の免疫関連有害事象(irAE)発症率は30%未満を示し、主要評価項目達成基準を達成した。主なグレード3~4の免疫関連有害事象(irAE)は肝炎1人、皮膚障害2人。また、グレード1~2の免疫関連有害事象(irAE)発症率70%(N=20人)を示した。主なグレード1~2の免疫関連有害事象(irAE)は皮膚障害53%、肝機能障害26%、甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症29%、下痢21%であった。

治療中止に至った患者は5人であり、病勢進行(PD)を原因としてR-CHOP療法中に治療中止した患者は2人、肝炎、肺塞栓症、病勢進行を原因として維持療法のバベンチオ療法中に治療中止した患者はそれぞれ1人であった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はR-CHOP療法後で89%、導入療法としてのバベンチオ単剤療法後で60%を示した。1年治療奏効維持生存率(FFS)は76%、1年全生存率(OS)は89%を示した。

以上のAvr-CHOP試験の結果よりEliza A Hawkes氏らは「進行性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する導入療法としての抗PD-L1抗体薬バベンチオ+R-CHOP療法は高い寛解率を示し、有害事象(AE)も管理可能でした。再発・難治性の患者を対象とした予想以上に高く、導入療法として免疫チェックポイント阻害薬の優れた有効性を示唆している可能性がある」と結論を述べている。

Safety and Efficacy of Induction and Maintenance Avelumab Plus R-CHOP in Patients with Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL): Analysis of the Phase II Avr-CHOP Study(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 597)

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