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再発/難治性の有毛細胞白血病に対する経口BRAF阻害薬ゼルボラフ+リツキシマブ併用療法、完全奏効率87%を示す

この記事の3つのポイント
・再発/難治性の有毛細胞白血病患者が対象の第2相試験
・ゼルボラフ+リツキシマブ併用療法の有効性安全性を検証
完全奏効率87%を示し、化学療法またはリツキシマブ不応の患者、
 BRAF阻害薬治療歴のある患者で100%を示した

2021年5月13日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて再発/難治性の有毛細胞白血病(HCL)患者に対する経口BRAF阻害薬であるゼルボラフ(一般名:ベムラフェニブ、以下ゼルボラフ)+リツキシマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(2014-003046-27)の結果がUniversità degli Studi di PerugiaのEnrico Tiacci氏らにより公表された。

本試験は、再発/難治性の有毛細胞白血病(HCL)に対して1日2回ゼルボラフ960mgを8週間+リツキシマブ375mg/m2を18週間で8回併用療法を同時併用、または逐次併用し、主要評価項目として完全奏効率(CR)を検証した単一施設の第2相試験である。

本試験に登録された30人の患者の結果は下記の通りである。主要評価項目である完全奏効率(CR)は87%(N=26/30人)を示した。また、前治療歴別の完全奏効率(CR)は化学療法不応群(N=10人)、リツキシマブ不応群(N=5人)、BRAF阻害薬治療歴のある群(N=7人)の全ての患者群で100%を示した。なお、完全奏効率(CR)が得られた26人の内17人(65%)では微小残存病変MRD)が確認されなかった。

その他評価項目であるフォローアップ期間中央値37ヶ月時点の無増悪生存率PFS)は78%、奏効が確認された26人のフォローアップ期間中央値34ヶ月時点の無再発生存率(RFS)85%を示した。また事後解析にて、微小残存病変(MRD)陰性率、BRAF阻害薬治療歴のなしである要因は無再発生存期間(RFS)の改善に相関することが示された。

以上の第2相試験の結果よりEnrico Tiacci氏らは「再発/難治性の有毛細胞白血病(HCL)患者に対する経口BRAF阻害薬ゼルボラフ+リツキシマブ併用療法は化学療法を使用しないために骨髄毒性のない治療レジメンであり、持続的な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。

Vemurafenib plus Rituximab in Refractory or Relapsed Hairy-Cell Leukemia(N Engl J Med. 2021 May 13;384(19):1810-1823. doi: 10.1056/NEJMoa2031298.)

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