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切除可能進行性肝細胞がんに対するネオアジュバント療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法、39.3%の患者で腫瘍縮小を認める

この記事の3つのポイント
・切除可能進行性肝細胞がん患者が対象の第2相試験
ネオアジュバント療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法有効性安全性を検証
・39.3%の患者に10%以上の腫瘍縮小を認め、25%は部分奏効を認めた

2021年6月30日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にて切除可能進行性肝細胞がん患者に対するネオアジュバント(NAC)療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03510871)の結果がNational Health Research InstitutesのY. Su氏らにより公表された。

本試験は、切除可能進行性肝細胞がん患者(N=29人)に対するネオアジュバント(NAC)療法として3週間毎にオプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kgを投与し、評価項目として奏効率(RR)、無増悪生存期間PFS)、安全性などを検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、ソラフェニブによる治療歴のある進行性肝細胞がん患者では抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法が良好な抗腫瘍効果を示している。以上の背景より、本治療は切除可能進行性肝細胞がんに対するネオアジュバント(NAC)療法としても有用性があるかを確認する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された29人の患者の年齢中央値は62歳。性別は男性23人、女性6人。腫瘍サイズ中央値は11.1cm(1.8~16.2cm)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

奏効を評価できた28人のうち、39.3%(N=11人)で10%以上の腫瘍縮小が認められ、部分奏効(PR)が25%(N=7人)の患者で確認された。また、病勢安定SD)を示した患者は35.7%(N=10人)、病勢進行(PD)を示した患者は39.3%(N=11人)であった。さらに、15人の患者が手術を実施し、そのうち5人で病理学的奏効(major pathologic response)を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は13.4ヶ月(95%信頼区間:1.4ヶ月~未到達)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレード有害事象(AE)は肝炎48.3%。グレード3~4の有害事象(AE)は12人の患者で確認され、その内訳は肝炎5人、感染症2人、リパーゼ増加2人、そう痒症1人、白血球数減少1人、非感染性肺炎1人であった。

以上の第2相試験の結果よりY. Su氏らは「切除可能進行性肝細胞がん患者に対するネオアジュバント(NAC)療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は実現可能性の高いものでした。標準治療になり得るかどうかについては長期的な検証が必要になります」と結論を述べている。

Nivolumab plus ipilimumab as neoadjuvant therapy for potentially resectable hepatocellular carcinoma(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer,Abstract P-124)

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