・進行性淡明細胞/非淡明細胞型腎細胞がん患者が対象の第1b相試験
・カボメティクス±テセントリク併用療法の有効性・安全性を検証
・進行性淡明細胞型腎細胞がんにおける客観的奏効率はカボメティクス単剤療法で53%、カボメティクス+テセントリク併用療法で58%を示した
2021年9月7日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性淡明細胞/非淡明細胞型腎細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)±抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相のCOSMIC-021試験(NCT03170960)の結果がCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らにより公表された。
COSMIC-021試験は、進行性腎細胞がん患者(N=102人)に対して1日1回カボメティクス40mg単剤(淡明細胞/非淡明細胞型の両方含む)もしくは1日1回カボメティクス60mg(淡明細胞型のみ)+3週を1サイクルとしてテセントリク1200mgを併用する群に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性を検証した第1b相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性腎細胞がんに対して免疫チェックポイント阻害薬、マルチキナーゼ阻害薬カボメティクスはそれぞれ良好な抗腫瘍効果を示している。しかしながら、両剤の併用による有用性を検証した臨床試験は少ない。以上の背景より、進行性淡明細胞/非淡明細胞型腎細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス、抗PD-L1抗体薬テセントリクの併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はカボメティクス40mgを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で53%(80%信頼区間:41~65%)、カボメティクス60mg+テセントリクを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で58%(80%信頼区間:46~70%)完全奏効率はそれぞれ3%と11%を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカボメティクス40mgを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で19.5ヶ月、カボメティクス60mg+テセントリクを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で15.1ヶ月を示した。
一方、非淡明細胞型腎細胞がん群(N=32人)における客観的奏効率(ORR)は31%(80%信頼区間:20~44%)、奏効を示した患者すべてが部分奏効(PR)であった。また、無増悪生存期間(PFS)中央値は9.5ヶ月であった。
グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はカボメティクス40mgを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で71%、カボメティクス60mg+テセントリクを投与した淡明細胞型腎細胞がん患者群で67%、非淡明細胞型腎細胞がん群で38%であった。また、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はそれぞれ15%、6%、3%であった。
以上のCOSMIC-021試験の結果よりSumanta K. Pal氏らは「進行性淡明細胞/非淡明細胞型腎細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス+抗PD-L1抗体薬テセントリク併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。また投与量やサブタイプにかかわらず、抗腫瘍効果が認められました」と結論を述べている。