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ファーストライン治療16週間後の転移性大腸がんに対する維持療法としてのカペシタビン単剤療法、無増悪生存期間を有意に延長

この記事の3つのポイント
ファーストライン治療16週間後の転移性大腸がん患者が対象の臨床試験
維持療法としてのカペシタビン単剤療法の有効性安全性を経過観察と比較検証
無増悪生存期間について経過観察群と比較して病勢進行または死亡リスクを60%統計学的有意に延長した

2021年9月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてファーストライン治療16週間後の転移性大腸がん患者に対する維持療法としてのカペシタビン単剤療法、経過観察を比較検証したFOCUS4-N試験の結果がCentre for Trials Research Cardiff UniversityのRichard A. Adams氏らにより公表された。

FOCUS4-N試験は、ファーストライン治療16週間後の転移性大腸がん患者(N=254人)に対する維持療法としてカペシタビン単剤療法を投与する群(N=127人)、または経過観察を実施する群(N=127人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、安全性などを比較検証した。

本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は経過観察群に比べてカペシタビン単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを60%減少(HR:0.40、95%信頼区間:0.21~0.75、P<0.0001)を示した。一方、副次評価項目である全生存期間(OS)は経過観察群に比べてカペシタビン単剤群で死亡(OS)のリスクを7%減少(HR:0.93、95%信頼区間:0.69~1.27、P=0.66)するも統計学的有意な差は確認されなかった。

安全性としては、経過観察群に比べてカペシタビン単剤群で多く確認された有害事象(AE)は下記の通りである。グレード2以上の倦怠感はカペシタビン単剤群の25%に対して経過観察群で12%、下痢は23%に対して13%、手足症候群は26%に対して3%をそれぞれ示した。なお、両群間で生活の質QOL)への影響の差は確認されなかった。

以上のFOCUS4-N試験の結果よりRichard A. Adams氏らは「ファーストライン治療16週間後の転移性大腸がん患者に対する維持療法としてのカペシタビン単剤療法は無増悪生存期間(PFS)を改善し、ファーストライン治療後16週間後のインターバルで使用することができます」と結論を述べている。

Capecitabine Versus Active Monitoring in Stable or Responding Metastatic Colorectal Cancer After 16 Weeks of First-Line Therapy: Results of the Randomized FOCUS4-N Trial(J Clin Oncol. 2021 Sep 13;JCO2101436. doi: 10.1200/JCO.21.01436.)

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