・ARID1A欠損型進行性固形がん患者が対象の臨床試験
・Ceralasertib(セララセルチブ)±リムパーザの有効性・安全性を比較検証
・Ceralasertib 単剤療法の客観的奏効率は20%を示し、2名に完全奏効が認められた
2021年9月23日~26日にバーチャルで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021)にて、ARID1A欠損型進行性固形がん患者に対する経口ATR阻害薬であるCeralasertib(セララセルチブ:AZD6738)単剤療法、ならびにCeralasertib(AZD6738)+PARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)併用療法の有効性、安全性を検証した試験の結果がUniversity of California San Francisco in San FranciscoのRahul Aggarwal氏らにより公表された。
本試験は、ARID1A欠損型進行性固形がん患者に対して28日を1サイクルとして1~14日目に1日2回Ceralasertib(AZD6738)160mg単剤療法を投与する群(N=10人、コーホート1)と、28日を1サイクルとして1~7日目に1日2回Ceralasertib(AZD6738)160mg+1~28日目に1日2回リムパーザ300mg併用療法を投与する群(N=10人、コーホート2)に分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はコーホート1で20%を示し、完全奏効(CR)は2人で確認された。1人は21.3ヶ月以上、1人は16.3ヶ月以上治療を継続し、完全奏効が維持された。
コーホート2での最良奏効は病勢安定(SD)であり、10人中4人の患者で病勢安定(SD)が確認され、奏効を示した患者は1人もいなかった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は血小板減少症10%、好中球減少症20%であり、どちらも一時的な投与中断または減量により管理可能であった。
以上の臨床試験の結果よりRahul Aggarwal氏らは「ARID1A欠損型進行性固形がん患者に対する経口ATR阻害薬Ceralasertib(AZD6738)単剤療法は持続的で良好な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。
ANTITUMOUR ACTIVITY OF CERALASERTIB IN ARID1A-DEFICIENT SOLID TUMOURS(ESMO Congress 2021)