・複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1b相試験
・Talquetamab(タルクエタマブ)+ダラザレックス併用療法の有効性・安全性を検証
・全患者における部分奏功以上は13人、完全奏功は5人であった
2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するGタンパク質共役型受容体GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体であるTalquetamab(タルクエタマブ)+抗CD38モノクローナル抗体であるダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相のTRIMM-2試験(NCT04108195)の結果がMount Sinai School of MedicineのAjai Chari氏らにより公表された。
本試験は、3レジメン以上の治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者(N=23人)に対して1週に1回Talquetamab皮下注射400µg/kg+ダラザレックス 1800mg併用療法を実施する群(コホート1、N=8人)、2週に1回Talquetamab皮下注射400µg/kg+ダラザレックス 1800mg併用療法を実施する群(コホート2、N=5人)、2週に1回Talquetamab皮下注射800µg/kg+ダラザレックス 1800mg併用療法を実施する群(コホート3、N=10人)に分け、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RP2D)などを検証した第1b相試験である。
本試験が開始された背景として、多発性骨髄腫は、ほとんどの患者で標準治療に対して治療抵抗性を示し、再発する。第1相のMonumenTAL-1試験にて、Gタンパク質共役型受容体GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体であるTalquetamab単剤療法は再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対して客観的奏効率(ORR)70%程度を示している。以上の背景より、多発性骨髄腫の標準治療である抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックスとの併用による有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は68歳(44-81歳)。性別は男性52.2%。前治療歴レジメン中央値は6レジメン(3-18レジメン)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
全グレードの有害事象(AE)発症率は95.7%、グレード3-4の有害事象(AE)発症率は78.3%。30%以上の患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は味覚障害が52.2%、好中球減少症が39.1%、血小板減少症が39.1%、貧血が34.8% 、サイトカイン放出症候群(CRS)が34.8%、皮膚障害が30.4%であった。なお、サイトカイン放出症候群(CRS)の発症期間中央値は2.5日(2-4日)、発症期間中央値は2日(1-3日)であった。
評価対象となった患者における各コホートの奏効率は、コホート1(N=4人)で部分奏効以上(PR)が3人、最良部分奏効(VGPR)以上が3人、完全奏効(CR)以上が3人であり、コホート2(N=5人)で部分奏効以上(PR)が3人、最良部分奏効(VGPR)以上が3人、完全奏効(CR)以上が1人、コホート3(N=8人)で部分奏効以上(PR)が7人、最良部分奏効(VGPR)以上が6人、完全奏効(CR)以上が1人であった。
以上のTRIMM-2試験の結果よりAjai Chari氏らは「複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するGタンパク質共役型受容体GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体であるTalquetamab+抗CD38モノクローナル抗体であるダラザレックス併用療法の安全性プロファイルは管理可能であり、抗腫瘍効果も良好でした」と結論を述べている。