2021年12月24日、小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるオプジーボ点滴静注(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)について、原発不明がんを適応症とした国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。
原発不明がんは、検査などで十分に検索したにも関わらず原発巣がはっきりしておらず、組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍で、日本国内における患者数は約3,000~13,680人と推計される。原発不明がんは診断時、既に進行・転移しており、複数臓器に転移が認められる症例は半数以上、治療法が確立されていない予後不良群は全体の80%を占める。予後不良群に対する治療は、薬物療法が主体であったが、これまで国内外で承認された薬剤なかった。
今回の承認は、第2相医師主導治験(NivoCUP試験)の結果に基づくもの。同試験は、化学療法既治療または未治療の原発不明がん患者(予後不良群)を対象に、オプジーボの有効性および安全性を検討することを目的として近畿大学病院を中心に実施された。主要評価項目は化学療法治療歴のある患者群における奏効率、副次評価項目は全患者群における奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などである。
同試験の結果、化学療法治療歴のある患者群における奏効率は22.2%(95%信頼区間:11.2-37.1)であり、信頼区間の下限値が事前に設定した閾値奏効率の5%を超えたことで主要評価項目を達成した。また、全患者群の奏効率は21.4%(95%信頼区間:11.6-34.4)であり、治療歴にかかわらず、オプジーボの抗腫瘍効果が認められた。
小野薬品工業はプレスリリースにて「今回の承認により、オプジーボが原発不明がんに対する新たな治療選択肢の一つになるものと期待しています」と述べている。
オプジーボとは
オプジーボはPD-1(programmed death-1)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の1つ。PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用してがんを攻撃する。2014年7月に日本国内において悪性黒色腫の承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。現在、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中。
参照元:
小野薬品工業株式会社 プレスリリース