・未治療の転移性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・テセントリク+ベバシズマブ併用療法の有効性・安全性をスニチニブと比較検証
・全患者における全生存期間はテセントリク+ベバシズマブ群で36.1ヶ月と、スニチニブの35.3ヶ月と同等であった
2021年12月23日、医学誌『JAMA Oncology』にて未治療の転移性腎細胞がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性をスニチニブ単剤療法と比較検証した第3相のIMmotion151試験(NCT02420821)の最終解析の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏らにより公表された。
IMmotion151試験は、未治療の転移性腎細胞がん患者(N=915人)に対して3週を1サイクルとしてテセントリク1200mg+ベバシズマブ15mg/kg併用療法を実施する群、もしくは1日1回スニチニブ50mg単剤療法を4週間実施し、2週間休薬する群に無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)、全患者群における全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本最終解析が実施された背景として、初回解析では主要評価項目であるPD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)はスニチニブ単剤群に比べてテセントリク+ベバシズマブ併用群で統計学的有意に改善することが示されている。しかしながら、初回解析時点ではもう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)のデータは未成熟であった。以上の背景より、本最終解析の結果が報告された。
本試験に参加した915人の患者の年齡中央値はテセントリク+ベバシズマブ併用群の62歳(56~69歳)に対してスニチニブ単剤群で60歳(54~66歳)。性別は男性が73.1%(N=669人)、女性が26.9%(N=246人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である全患者群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク+ベバシズマブ併用群の36.1ヶ月に対してスニチニブ単剤群で35.3ヶ月、PD-L1陽性群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク+ベバシズマブ併用群の38.7ヶ月に対してスニチニブ単剤群で31.6ヶ月を示した。
以上のIMmotion151試験の最終解析の結果よりRobert J. Motzer氏らは「未治療の転移性腎細胞がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+ベバシズマブ併用療法は、スニチニブ単剤療法に比べてPD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)は統計学的有意に改善しましたが、全生存期間(OS)においては改善傾向が確認できませんでした」と結論を述べている。