・進行性血管肉腫患者が対象の第3相試験
・Carotuximab(カロツキシマブ)+パゾパニブ併用療法の有効性・安全性をパゾパニブ単剤と比較検証
・無増悪生存期間は併用群が4.3ヶ月、単剤群が4.2ヶ月であり、両群での差は認めず
3月31日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性血管肉腫患者に対する抗CD105抗体Carotuximab+マルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のTAPPAS試験(NCT02979899)の結果がRoyal Marsden Hospital and Institute of Cancer ResearchのRobin L. Jones氏らにより公表された。
本試験は、進行性血管肉腫患者(N=123人)に対して週1回Carotuximab 10mg/kg+1日1回パゾパニブ800mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群、1日1回パゾパニブ800mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として 盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、血管肉腫は肉腫の中でもまれな疾患であり、予後は不良である。第1/2相試験の結果では、化学療法抵抗性のあるパゾパニブ治療ナイーブの進行性血管肉腫対するCarotuximab+パゾパニブ併用療法は無増悪生存期間(PFS)7.8ヶ月を示している。以上の背景より、進行性血管肉腫患者に対する抗CD105抗体Carotuximab+マルチキナーゼ阻害薬パゾパニブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験で評価可能であった114人(パゾパニブ単剤群53人、Carotuximab+パゾパニブ併用群61人)の患者背景は下記の通りである。性別は女性61%(N=69人)。年齢中央値は68歳(24~82歳)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はパゾパニブ単剤群の4.3ヶ月(95%信頼区間:2.9ヶ月-未到達)に対してCarotuximab+パゾパニブ併用群で4.2ヶ月(95%信頼区間:2.8-8.3ヶ月)を示し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.98、95%信頼区間:0.52-1.84、P=0.95)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は下記の通りである。疲労はパゾパニブ単剤群の55%に対してCarotuximab+パゾパニブ併用群で61%、頭痛は23%に対して64%、下痢は51%に対して57%、吐き気は49%に対して48%、嘔吐は23%に対して38%、貧血は9%に対して44%、鼻血は4%に対して56%、高血圧は55%に対して36%をそれぞれ示した。
以上のTAPPAS試験の結果よりRobin L. Jones氏らは「進行性血管肉腫患者に対する抗CD105抗体Carotuximab+マルチキナーゼ阻害薬パゾパニブ併用療法は、パゾパニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しませんでした」と結論を述べている。