・進行性固形がん患者が対象の第1/2相試験
・Nemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤療法単剤療法の有効性・安全性を検証
・第2相試験推奨用量は最大6mg/kg/日と設定され、客観的奏効率は腎細胞がんで18.2%、メラノーマで8.7%を示した
6月3日~7日、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にて進行性固形がん患者に対するNemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤療法、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のARTISTRY-1試験(NCT02799095)の結果がUniversity of Michigan Cancer CenterのUlka N. Vaishampayan氏らにより公表された。
ARTISTRY-1試験は、進行性固形がん患者に対してNemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤を10µg/kgまで漸増投与するパート(PART A)、悪性黒色腫(メラノーマ)もしくは腎細胞がん(RCC)患者に対してNemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤療法を実施するパート(PART B)、進行性固形がん患者に対してNemvaleukin alfa(ALKS 4320)3~6µg/kg/日+21日を1サイクルとしてキイトルーダ併用療法を実施する群(PART C)に分けて主要評価項目として抗腫瘍効果、安全性を検証した第1/2相試験である。
本試験のPART Aに登録された46人における結果、Nemvaleukin alfa(ALKS 4320)の第2相試験推奨用量は6µg/kg/日として決定され、最大耐量には達しなかった。Nemvaleukin alfa(ALKS 4320) 10µg/kgを投与された1人の患者で用量制限毒性(DLT、グレード4の急性腎障害)が確認された。
PART B、PART Cの患者群は1~9レジメンの前治療を受けており、免疫チェックポイント阻害薬を含む複数治療歴を有していた。Nemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤療法を受けた腎細胞がん(RCC)患者の客観的奏効率(ORR)は18.2%(N=4/22人)、悪性黒色腫群は8.7%(N=4/46人)を示した。
PART B、PART Cで最も多く確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。貧血がPART Bの9%に対してPART Cで10%、好中球減少症が34%に対して9%、好中球数減少が12%に対して9%であり、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致していた。
以上のARTISTRY-1試験の結果よりUlka N. Vaishampayan氏らは「進行性固形がん患者に対するNemvaleukin alfa(ALKS 4320)単剤療法、併用療法は忍容性があり、複数治療歴のある患者に対しても持続的な抗腫瘍効果が確認され、さらなる研究が必要です」と結論を述べている。
なお、米国食品医薬品局(FDA)は、メラノーマや卵巣がん治療薬としてNemvaleukin alfa(ALKS 4320)をファストトラック指定し、メラノーマについては希少疾病用医薬品に指定した。