・中枢神経系転移のあるBRAF遺伝子変異陽性で前治療歴のない悪性黒色腫患者が対象の第2相試験
・テセントリク+ベムラフェニブ+コビメチニブ併用療法の有効性・安全性を検証
・主要評価項目である頭蓋内病変客観的奏効率は42%を示した
8月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にて中枢神経系(CNS)転移のあるBRAF遺伝子変異陽性で前治療歴のない悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+BRAF阻害薬ベムラフェニブ+MEK阻害薬コビメチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のTRICOTEL試験(NCT03625141)の結果がUniversity Hospital ZurichのReinhard Dummer氏らにより公表された。
TRICOTEL試験は、中枢神経系(CNS)転移のあるBRAF遺伝子野生型で前治療歴のない悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=15人)に対して、28日を1サイクルとして1、15日目にテセントリク840mg+1~21日目にコビメチニブ60mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)発現するまで実施するコホートと、中枢神経系(CNS)転移のあるBRAF遺伝子変異陽性で前治療歴のない悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=60人)に対して28日を1サイクルとして1、15日目にテセントリク840mg+1日2回ベムラフェニブ720mg+1~21日目にコビメチニブ60mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)発現するまで実施するコホートの2つに振り分け、主要評価項目として独立評価委員会(IRC)の評価した頭蓋内病変客観的奏効率(iORR)を検証した多施設共同オープンラベルシングルアームの第2相試験である。
BRAF遺伝子陽性群におけるコホートのフォローアップ期間中央値9.7ヶ月時点における結果、主要評価項目である頭蓋内病変客観的奏効率(iORR)は42%(95%信頼区間:29-54%)を示した。また、BRAF遺伝子野生型群におけるコホートのフォローアップ期間中央値は6.2ヶ月と短かったため、IRCによる評価は実施されず、治験責任医師の評価による頭蓋内病変客観的奏効率(iORR)は27%(95%信頼区間:8-55%)であった。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はBRAF遺伝子変異陽性群(N=60人)で68%(N=41人)を示した。主なグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、リパーゼ増加が25%(N=15人)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加が17%(N=10人)であった。また、BRAF遺伝子野生型群(N=15人)では、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は53%(N=8人)を示した。主なグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、貧血が13%(N=2人)、ざ瘡様皮膚炎が13%(N=2人)であった。
以上のTRICOTEL試験の結果よりReinhard Dummer氏らは「中枢神経系(CNS)転移のあるBRAF遺伝子陽性の悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+BRAF阻害薬ベムラフェニブ+MEK阻害薬コビメチニブ併用療法は、良好な頭蓋内病変客観的奏効率(iORR)を示しました」と結論を述べている。