2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、プラチナ製剤ベースの化学療法後の再発または転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するデュルバルマブ(商品名IMFINZI,以下IMFINZI)単剤療法の有効性を検証した第2相のHAWK試験(NCT02207530)の結果がアメリカ・メリーランド州のユニバーシティ・オブ・メリーランド・メディカル・センターのDan P. Zandberg氏より発表された。
本試験は、プラチナ製剤ベースの化学療法後に再発または転移した頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対してIMFINZI単剤療法(N=112人)を投与し、主要評価項目である独立判定機関によるRECISTv1.1基準での客観的奏効率(ORR)、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を検証した多施設共同試験の結果である。
登録された患者背景としては、IMFINZIをはじめ抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果予測因子として考えられているPD-L1発現率がVENTANA PD-L1(SP263) アッセイにより25%以上と測定された患者である。その他の背景としては、年齢中央値60歳、性別は男性71.4%女性28.6%、HPV陽性率34.3%、過去に喫煙既往歴のある患者は61.6%であった。このような患者に対してIMFINZI10 mg/kgを12ヶ月もしくは憎悪するまで投与した。
データカットオフ日は2017年3月31日、治療期間中央値、フォローアップ期間中央値はそれぞれ3.45ヶ月、6.13ヶ月であったが、その結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は16.2%(95%信頼区間:9.9–24.4%)であった。奏効が確認された18人の内10人(55%)の患者はデータカットオフ時点でも奏効が継続し、24週における病勢コントロール率(完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD))は23.4%であった。また、HPV陽性の有無により客観的奏効率(ORR)を検証しており、その結果はHPV陽性患者29.4%に対してHPV陰性患者では10.8%であった。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値、全生存期間(OS)中央値はそれぞれ2.1ヶ月(95%信頼区間:1.9–3.7ヶ月)、7.1ヶ月(95%信頼区間:4.9–9.9ヶ月)で、12ヶ月全生存期間(OS)率は33.6% (95%信頼区間:24.8–42.7%)であった。
最後に安全性であるが、IMFINZIは管理可能な安全性プロファイルを示した。グレード3以上の治療に関連した有害事象発症率は8%で、IMFINZIにより治療中止となった患者はわずか1人で、死亡は認められなかった。
以上の結果を受け、プラチナ製剤ベースの化学療法後に再発または転移したPD-L1発現率の高い頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対する単剤療法としてのIMFINZIの奏効の高さ、安全性が証明された。