2017年10月15日から18日まで横浜で開催されていた第18回世界肺癌会議(WVLC)にて、局所進行または転移性非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてのラムシルマブ(商品名サイラムザ;以下サイラムザ)+ドセタキセル併用療法の有効性を検証した第III相のREVEL試験(NCT01168973)のサブグループ解析の結果がLung Clinic GrosshansdorfのMartin Reck氏により公表された。
REVEL試験とは、プラチナ製剤ベースの化学療法治療中または治療後に増悪した局所進行または転移性非小細胞肺がん患者(N=1253人)に対してサイラムザ+ドセタキセル併用療法を投与する群、またはプラセボ+ドセタキセル併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性などを検証した国際多施設共同の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)ともにサイラムザ併用療法群で有意に延長することが証明されたが、今回の発表では一次治療中にがんが急速に進行した患者(N=696人)を対象にサイラムザ+ドセタキセル併用療法の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を探索的に解析した。
なお、本サブグループ解析では一次治療の開始よりがんが増殖、進行、転移するまでの期間を無増悪期間(TTP)として定義し、無増悪期間(TTP)が9週以下の患者群(N=133人)、無増悪期間(TTP) が12週以下の患者群(N=209人)、無増悪期間(TTP) が18週以下の患者群(N=354人)の3つの群に分けて解析している。
本サブグループ解析の結果、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)の3つ全てで、プラセボ併用療法群よりもサイラムザ併用療法群で良好な治療成績であることが判った。
例えば本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)は、一次治療の無増悪期間(TTP)9週以下の患者群ではプラセボ併用療法群4.83ヶ月(3.09-6.90ヶ月)に対してサイラムザ併用療法群8.28ヶ月(5.19-10.84ヶ月)、一次治療の無増悪期間(TTP)12週以下の患者群ではプラセボ併用療法群5.78ヶ月(4.30-7.49ヶ月)に対してサイラムザ併用療法群9.10ヶ月(6.70-10.84ヶ月)、一次治療の無増悪期間(TTP)18週以下の患者群ではプラセボ併用療法群5.95ヶ月(4.44-6.97ヶ月)に対してサイラムザ併用療法群8.51ヶ月(6.97-9.95ヶ月)であった。
以上のREVEL試験のサブグループ解析の結果を受けて、Martin Reck氏は以下のようなコメントを述べている。”進行性非小細胞肺がんの一次治療開始より9~12週以内に実施される画像診断においてがんが急速に進行、増悪する場合、その患者さんの二次治療に対する反応は不良です。そのため、このような患者さんのアンメットメディカルニーズを満たす治療方法の開発が必要でした。今回発表されたREVEL試験の探索的解析により、サイラムザ+ドセタキセル併用療法は一次治療開始より9~12週以内にがんが急速に進行、増悪する患者に対してもITT(intent-to-treat)集団と同様の結果が得られることを証明しました。本サブグループ解析の結果は、このような患者さんに対しても二次治療としてのサイラムザ+ドセタキセル併用療法により臨床的意義のあるベネフィットが得られる可能性を示唆しました。”
また、リリー・オンコロジー・国際開発・メディカル部門担当シニア・バイスプレジデントのLevi Garraway氏は以下のようなコメントを述べている。”進行性非小細胞肺がんの一次治療を開始したにも関わらずがんが急速に進行する経験をした患者さんは、がんの増殖、転移を防いだり、遅らせたりするための治療方法を切実に必要としているため、REVEL試験のサブグループ解析結果により私たちは勇気づけられています。REVEL試験の結果は進行性肺がんの治療成績を向上させ、弊社の長年に渡る肺がん治療への貢献と患者さんに対する治療への貢献を示しているでしょう。”