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免疫チェックポイント阻害薬の全生存期間(OS)を予測する因子は、全奏効率(ORR)でなく6ヶ月無増悪生存率(PFS)

2018年2月22日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性固形がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)、抗CTLA-4阻害薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)などの全奏効率ORR)と全生存期間OS)、無増悪生存期間PFS)の関係性を検証したメタアナリシス試験の結果がSt George Hospital・Georgia Ritchie氏らにより公表された。

本メタアナリシス試験では、抗PD-1/PD-L1抗体薬であるオプジーボ、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)、アテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)、アベルマブ(商品名バベンチオ;以下バベンチオ)、抗CTLA-4阻害薬であるヤーボイ、トレメリムマブ(MEDI1123)のキーワードでPREMEDLINE、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Registerに登録されている第II/III相の20の臨床試験を解析対象にしている。20の臨床試験の詳細は下記の通りである。

悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する一次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate066試験(NCT01721772)、悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する二次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate037試験。非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate026試験(NCT02041533)、扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate017(NCT01642004)/Checkmate057試験(NCT01673867)。頭頸部がん患者に対する二次治療以降としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate141試験(NCT02105636)。腎細胞がん患者に対する二次/三次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したCheckmate025試験(NCT01668784)。胃がん患者に対する三次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したONO-4538試験(NCT02267343)。

悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する一/二次治療としてキイトルーダ単剤療法を投与したKeynote002試験(NCT01704287)、非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてキイトルーダ単剤療法を投与したKeynote024試験(NCT02142738)、非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてキイトルーダ+ペメトレキセド(商品名アリムタ)+カルボプラチン併用療法を投与したKeynote021試験(NCT02039674)。非小細胞肺がん患者に対する二次治療以降としてキイトルーダ単剤療法を投与したKeynote010試験(NCT01905657)。非小細胞肺がん患者に対する二次治療以降としてテセントリク単剤療法を投与したPOPLAR試験(NCT01903993)、OAK試験(NCT02008227)。

悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する一次治療としてヤーボイ+ダカルバジン併用療法を投与したCA184-024試験(NCT00324155)。非小細胞肺がん/小細胞肺がん患者に対する一次治療としてヤーボイ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法を投与したCA184-041試験(NCT00527735)、小細胞肺がん患者に対する一次治療としてヤーボイ+カルボプラチン+パクリタキセル+エトポシド併用療法を投与したCA184-056試験。去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対する一次治療としてヤーボイ単剤療法を投与したCA184-095試験(NCT01057810)。

悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する一次治療としてトレメリムマブ(MEDI1123)単剤療法を投与した試験(NCT00257205)、悪性中皮腫患者に対する二次/三次治療としてトレメリムマブ(MEDI1123)単剤療法を投与したDetermine試験。

以上の20の臨床試験より10828人の患者が対象となり、その内抗PD-1抗体薬、または抗CTLA-4阻害薬が投与された患者は6144人、標準治療、またはプラセボ療法が投与された患者は4684人である。本メタアナリシスの結果、全奏効率(ORR)の24%(95%信頼区間:18-31%)は免疫チェックポイント阻害薬と関係していた。

また、免疫チェックポイント阻害薬の投与された群における全奏効率(ORR)と無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の相関係数は下記の通りである。全奏効率(ORR)と6ヶ月無増悪生存率(PFS)の相関係数は0.37(95%信頼区間:−0.06-0.95)、全奏効率(ORR)と12ヶ月全生存率(OS)の相関係数は0.08(95%信頼区間:−0.17-0.70)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)と12ヶ月全生存率(OS)の相関係数は0.74(95%信頼区間:0.57-0.92)を示した。

以上のメタアナリシスの結果より、Georgia Ritchie氏らは以下のような結論を述べている。”免疫チェックポイント阻害薬により全生存期間(OS)の結果を予測する因子として全奏効率(ORR)は相応しくはありません。しかし、12ヶ月全生存率(OS)の効果を予測する因子として6ヶ月無増悪生存率(PFS)は相関性があります。そのため、今後免疫チェックポイント阻害薬による第II相試験を実施する場合、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を設定することを推奨します。”

Defining the Most Appropriate Primary End Point in Phase 2 Trials of Immune Checkpoint Inhibitors for Advanced Solid Cancers A Systematic Review and Meta-analysis(JAMA Oncol. Published online February 22, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2017.5236)

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