・アメリカ合衆国にて大腸がんの診断率は全がん種の中で第3位、死亡率は第2位であり、昨年は50,630人の患者が大腸がんにより死亡した
・大腸がんスクリーニング検査を受診した患者は、受診しなかった患者に比べて死亡率が低かった
・iPadのアプリケーションにより大腸がんスクリーニング検査を啓蒙した群は、しなかった群に比べて大腸がんスクリーニング検査の受診率が2倍以上であった
2018年3月13日、医学誌『Annals of Internal Medicine』にてiPadのアプリケーションにより大腸がんスクリーニング検査の受診率が向上するかどうかを検証した無作為化試験(NCT02088333)の結果がWake Forest School of Medicine・David P. Miller Jr.氏らにより公表された。
本試験は、大腸がんスクリーニング検査の必要な450人の患者に対してiPadのアプリケーションにより大腸がんスクリーニング検査受診の必要性、意思決定のサポートなどの介入をする群(N=223人)、介入しない群(N=227人)に無作為に振り分け、主要評価項目として大腸がんスクリーニング検査の受診率、副次評価項目として大腸がんスクリーニング検査を受診する患者の意思、オーダー率などを比較検証した無作為化試験である。
なお、iPadのアプリケーションとはMobile Patient Technology for Health-CRC(mPATH-CRC)と呼ばれ、患者に対してスクリーニング検査の必要性に関する情報、スクリーニングを受診する意思決定のサポート情報、スクリーニングのセルフオーダーの機能、オーダーを完了させるための通知などの機能が備わったアプリケーションである。
本試験に登録された患者背景は両群間に差はなかった。本試験に登録された患者の特徴は、37%の患者で健康的リテラシーは低くく、53%の患者で年収20,000ドルより少なかった。
本試験の結果、主要評価項目である大腸がんスクリーニング検査の受診率はiPadアプリケーションによる介入群が30%に対して介入しない群が15%、iPadアプリケーションによる介入群は介入しない群に比べて2倍以上の大腸がんスクリーニング検査の受診率であった(オッズ比2.5,95%信頼区間:1.6–4.0)。
なお、副次評価項目である大腸がんスクリーニング検査を受診する患者の意思、オーダー率などもiPadアプリケーションによる介入群は介入しない群に比べて良好であった。そして、大腸がんスクリーニング検査をオーダーした患者の53%(N=118/223人)はMobile Patient Technology for Health-CRC(mPATH-CRC)の機能であるセルフオーダーを経由してのオーダーであった。
以上の無作為試験の結果よりDavid P. Miller Jr.氏らは以下のように結論を述べている。”Mobile Patient Technology for Health-CRC(mPATH-CRC)により介入した患者は介入しなかった患者に比べて、大腸がんスクリーニング検査の受診率が2倍以上でした。しかし、介入した半数以上の患者において未受診であるため、その受診率を向上させるための機能が何か?を特定し、Mobile Patient Technology for Health-CRC(mPATH-CRC)の機能として備えるつける必要があるでしょう。”