・KEYNOTE-042試験とは、PD-L1発現率1%以上の未治療局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者に対する一次治療として抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法とプラチナ系抗がん剤2剤併用療法の有効性を比較検証した日本を含む国際多施設共同第III相試験である
・KEYNOTE-042試験はPD-L1発現率1%以上の未治療局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者に対する一次治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の化学療法に対する全生存期間(OS)の優越性を示した初の臨床試験である
・本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はPD-L1発現率50%以上の患者群ではキイトルーダ群20.0ヶ月に対して化学療法併用群12.2ヶ月、PD-L1発現率20%以上ではキイトルーダ群17.7ヶ月に対して化学療法併用群13.0ヶ月、PD-L1発現率1%以上ではキイトルーダ群16.7ヶ月に対して化学療法併用群12.1ヶ月であった
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、PD-L1発現率1%以上のEGFR遺伝子変異陰性ALK融合遺伝子変異陰性局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者に対する一次治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法とプラチナ系抗がん剤2剤併用療法の有効性を検証した第III相のKEYNOTE-042試験(NCT02220894)の結果がUniversity of Miami Health System・Gilberto Lopes氏らにより公表された。
KEYNOTE-042試験とは、PD-L1発現率1%以上のEGFR遺伝子変異陰性ALK融合遺伝子変異陰性局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者(N=1274人)に対する一次治療として3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(N=637人)、または治験医師判断のプラチナ系抗がん剤2剤併用療法(カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法など)を投与する群(N=637人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率1%以上、PD-L1発現率20%以上、PD-L1発現率50%以上のそれぞれの患者群における全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した日本を含む国際多施設共同非盲検の第III相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値12.8ヶ月時点における主要評価項目である全生存期間(OS)中央値のPD-L1発現率別の結果は下記の通りである。PD-L1発現率50%以上の患者群(キイトルーダ群:N=299人,化学療法併用群:N=300人)における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群20.0ヶ月(95%信頼区間:15.4-24.9ヶ月)に対して化学療法併用群12.2ヶ月(95%信頼区間:10.4-14.2ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを統計学的有意に31%減少した(ハザード比:0.69,95%信頼区間:0.56-0.85,P=0.0003)。
PD-L1発現率20%以上の患者群(キイトルーダ群:N=413人,化学療法併用群:N=405人)における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群17.7ヶ月(95%信頼区間:15.3-22.1ヶ月)に対して化学療法併用群13.0ヶ月(95%信頼区間:11.6-15.3ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを統計学的有意に23%減少した(ハザード比:0.77,95%信頼区間:0.64-0.92,P=0.0020)。
PD-L1発現率1%以上の患者群(キイトルーダ群:N=637人,化学療法併用群:N=637人)における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群16.7ヶ月(95%信頼区間:13.9-19.7ヶ月)に対して化学療法併用群12.1ヶ月(95%信頼区間:11.3-13.3ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを統計学的有意に19%減少した(ハザード比:0.81,95%信頼区間:0.71-0.93,P=0.0018)。
以上のKEYNOTE-042試験の結果よりGilberto Lopes氏らは以下のように結論を述べている。”KEYNOTE-042試験は、PD-L1発現率1%以上の未治療局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者に対して、一次治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の化学療法に対する全生存期間(OS)の優越性を証明した初の臨床試験です。”