・ZUMA-1試験とは、難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対して抗CD19 CAR-T細胞療法薬であるaxicabtagene ciloleucelの有効性、安全性などを検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である最良奏効率(BOR rate)は完全奏効率(CR rate)は58%を含む82%を示し、また最良奏効(BOR)を達成した患者における奏効持続期間(DOR)中央値は11.1ヶ月であった
・axicabtagene ciloleucel投与によりグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は97%、CAR-T細胞療法特有の有害事象(AE)であるグレード3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)は12%、神経毒性は29%の患者で確認された
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、難治性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL/PMBCL/TFL)患者に対する抗CD19 CAR-T細胞療法薬であるaxicabtagene ciloleucelの有効性、安全性などを検証した第II相のZUMA-1試験(NCT02348216)の結果がMoffitt Cancer Center・Frederick Lundry Locke氏らにより公表された。
ZUMA-1試験とは、難治性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL/PMBCL/TFL)患者(N=101人,DLBCL=77人,PMBCL/TFL=24人)に対して低用量シクロホスファミド500mg/m2+フルダラビン30mg/m2による前処置後にaxicabtagene ciloleucelを2×10の6乗細胞/kg投与し、主要評価項目として最良奏効率(BOR rate)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを検証した第II相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は58歳(23-76歳)。性別は男性67%(N=68人)。EGOG performance statusはスコア1が58%(N=59人)。病期はステージIII/IV期が85%(N=86人)。前治療歴は3レジメン以上が69%(N=70人)。
以上の背景を有する患者に対する観察期間中央値15.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である最良奏効率(BOR rate)は82%を示し、完全奏効率(CR rate)は58%を示した。また、最良奏効(BOR)を達成した患者における奏効持続期間(DOR)中央値は11.1ヶ月(95%信頼区間:3.9ヶ月-未到達)であった。
奏効までの期間(TTR)中央値は最良奏効(BOR)を達成した群1.0ヶ月(95%信頼区間:0.8-24.8ヶ月)、完全奏効(CR)を達成した群1.0ヶ月(95%信頼区間:0.8-12.3ヶ月)であった。なお、部分奏効(PR)を達成した患者の41%(N=18/44人)が遅れて完全奏効(CR)に至った。
また、投与3ヶ月以内に最良奏効率(BOR rate)を達成した患者における無増悪生存率(PFS rate)は下記の通りである。6ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は部分奏効(PR)群(N=9人)で78%(95%信頼区間:36%-94%)、完全奏効(CR)群(N=42人)で88%(95%信頼区間:74%-95%)、9ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は部分奏効(PR)群で78%(95%信頼区間:36%-94%)、完全奏効(CR)群で83%(95%信頼区間:68%-92%)、12ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は部分奏効(PR)群で78%(95%信頼区間:36%-94%)、完全奏効(CR)群で79%(95%信頼区間:63%-88%)を示し、axicabtagene ciloleucel投与後3カ月以内に最良奏効(BOR)が得られた患者では1年後も約80%で効果が持続した。
一方の安全性として、axicabtagene ciloleucelにより全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は100%(N=101人)、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は97%(N=98人)の患者で確認された。なお、CAR-T細胞療法特有の有害事象(AE)であるグレード3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)は12%(N=12人)、神経毒性は29%(N=29人)の患者で確認された。
以上のZUMA-1試験の結果よりFrederick Lundry Locke氏らは以下のように結論を述べている。”難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対する抗CD19 CAR-T細胞療法薬であるaxicabtagene ciloleucelは完全奏効率(CR rate)は58%を含む、最良奏効率(BOR rate)82%を示しました。また、投与後3カ月以内に最良奏効(BOR)が得られた患者では1年後も約80%で効果が持続する結果より、長期寛解の指標になる可能性が示唆されました。”