・1992年-2009年に診断されたホジキンリンパ腫の女性サバイバーの出産率を同世代一般人口と比較した結果
・年々出産率は改善し、2004年-2009年時に診断された患者の出産率は一般人口とほぼ同様
・診断後、再発なしで3年経過した患者はステージや治療内容に関係なく一般人口の出産率とほぼ同様
2018年7月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてホジキンリンパ腫と診断されて9ヶ月後に寛解した若年女性患者の出産率を同世代の一般人口と比べた結果がKarolinska Institutet・Caroline E. Weibull氏らにより公表された。
本試験は、Swedish Cancer Register(SCR)データに基づいて1992年から2009年時にホジキンリンパ腫と診断され9ヶ月後に寛解した18歳から40歳女性患者(N=449人)の出産率を、一般人口(N=2,210人)の出産率と比べた結果である。
本試験の結果、ホジキンリンパ腫と診断された患者449人の内101人(22.5%)、一般人口2,210人の内638人(28.9%)で出産が確認され、全患者群における1000人年当たりの出産率はホジキンリンパ腫患者で1000人年当たり57.2人(95%信頼区間:47.1-69.5人)、一般人口で1000人年当たり70.1人(95%信頼区間:64.9-75.8人)であった。診断年次、年齢など因子別の、ホジキンリンパ腫患者、一般人口の1000人年当たりの出産率は下記の通りである。
診断年次別では、1992年から1997年時にホジキンリンパ腫と診断された患者の出産率は1000人年当たり40.2人(95%信頼区間:24.2-66.6人)、1998年から2003年時では1000人年当たり56.7人(95%信頼区間:42.7-75.2人)、2004年から2009年時では1000人年当たり69.7人(95%信頼区間:50.7-95.8人)に対して、一般人口では1992年から1997年時で1000人年当たり71.3人(95%信頼区間:60.2-84.4人)、1998年から2003年時で1000人年当たり69.3人(95%信頼区間:61.9-77.5人)、2004年から2009年時で1000人年当たり70.7人(95%信頼区間:61.5-81.2人)。
診断年次別の出産率の結果、年々出産率は改善傾向を示し、2004年から2009年時にホジキンリンパ腫と診断された患者においては一般人口の出産率とほぼ同様であった。
年齢別では、18歳から25歳のホジキンリンパ腫患者の出産率は1000人年当たり64.4人(95%信頼区間:49.9-83.2人)、26歳から40歳のホジキンリンパ腫患者では1000人年当たり49.4人(95%信頼区間:36.5-66.9人)、18歳から25歳の一般人口の出産率は1000人年当たり73.5人(95%信頼区間:66.0-81.7人)、26歳から40歳の一般人口の出産率は1000人年当たり66.8人(95%信頼区間:59.6-74.7人)。
年齢別の出産率の結果、一般人口に比べて18歳から25歳のホジキンリンパ腫患者では出産可能性が15%減少(HR:0.85,95%信頼区間:0.66-1.10)、26歳から40歳のホジキンリンパ腫患者では出産可能性が34%減少(HR:0.66,95%信頼区間:0.44-0.98)した。
また、ホジキンリンパ腫診断後9ヶ月から7年、9ヶ月から3年、3年から7年の診断後の経過年次別に分けたホジキンリンパ腫患者群における一般人口に比べた出産率は、ホジキンリンパ腫診断後9ヶ月から7年患者群で22%減少(HR:0.78,95%信頼区間:0.63-0.97)、9ヶ月から3年患者群で42%減少(HR:0.58,95%信頼区間:0.41-0.81)、3年から7年患者群で1%減少(HR:0.99,95%信頼区間:0.75-1.31)。
以上の結果より、ホジキンリンパ腫と診断されてから3年以上経過した患者においては一般人口の出産率とほぼ同様であった。
以上の試験の結果よりCaroline E. Weibull氏らは以下のように結論を述べている。”ホジキンリンパ腫サバイバーにおける出産率は年々改善しており、診断後3年経過した無再発の患者においては病期ステージ、治療内容に関係なく一般人口の出産率と同様でした。”