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進行固形がん患者に対する抗組織因子抗体であるTisotumab vedotin単剤療法、奏効率15.6%を示す

この記事の3つのポイント
・抗組織因子(TF)の抗体薬物複合体Tisotumab vedotin単剤療法
・卵巣がん、子宮頸部がん、子宮内膜がん、膀胱がん、前立腺がん、食道がん、頭頸部がん、非小細胞肺がんへの効果
・第1/2試験であるが奏効率15.6%を示した(がん種ごとに奏効率にばらつきあり)

2019年2月7日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性/転移性固形がん患者に対する抗組織因子(TF)抗体薬であるTisotumab vedotin単剤療法の安全性有効性を検証した第I/II相試験(NCT02001623)の結果がThe Institute of Cancer Research・Johann S de Bono氏らにより公表された。

本試験は、18歳以上の卵巣がん、子宮頸部がん、子宮内膜がん、膀胱がん、前立腺がん、食道がん、頭頸部がん、非小細胞肺がんを含む進行性/転移性固形がん患者に対して3週を1サイクルとしてTisotumab vedotin 0.3~2.2mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として抗腫瘍効果等を検証したオープンラベルの第I/II相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は59歳(52-67歳)。性別は男性31%(N=46人)、女性69%(N=101人)。人種は白人93%(N=136人)、アジア人3%(N=4人)、その他2%(N=3人)、黒人1%(N=2人)。ECOG Performance Statusはスコア0が41%(N=60人)、スコア1が59%(N=86人)。

原発腫瘍部位は卵巣がん24%(N=36人)、子宮頸部がん23%(N=34人)、前立腺がん12%(N=18人)、膀胱がん10%(N=15人)、子宮内膜がん10%(N=14人)、食道がん10%(N=15人)、非小細胞肺がん10%(N=15人)。

以上の背景を有する患者に対する結果は下記の通りである。主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)発症率はグレード1~2で44%(N=65人)、グレード3で53%(N=78人)、グレード4で6%(N=9人)、グレード5で4%(N=6人)。

20%以上の患者で確認された主なグレード1~2の治療関連有害事象(TRAE)は以下の通り。

鼻出血69%
吐き気50%
疲労46%
脱毛症44%
結膜炎39%
食欲減退35%
便秘34%
下痢29%
嘔吐25%
ドライアイ22%
抹消神経障害21%

最も多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)は疲労10%、貧血5%、腹痛4%、低カリウム血症4%、腹痛4%を示した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は全患者群で15.6%(N=23/147人,95%信頼区間:10.2%-22.5%)であり、各がん種ごとは以下の通り。

膀胱がん:26.7%(N=4/15人,95%信頼区間:7.8%-55.1%)
子宮頸がん:26.5%(N=9/34人,95%信頼区間:12.9%-44.4%)
子宮内膜がん:7.1%(N=1/14人,95%信頼区間:0.2%-33.9%)
食道がん:13.3%(N=2/15人,95%信頼区間:1.7%-40.5%)
非小細胞肺がん:13.3%(N=2/15人,95%信頼区間:1.7%-40.5%)
卵巣がん:13.9%(N=5/36人,95%信頼区間:4.7%-29.5%)
前立腺がん:0%(N=0/18人,95%信頼区間:0%-0.2%)

以上の第I/II相試験の結果よりThe Institute of Cancer Research・Johann S de Bono氏らは以下のように結論を述べている。”進行性/転移性固形がん患者に対するTisotumab vedotin単剤療法は忍容性も問題なく、抗腫瘍効果も期待できる結果でした。”

Tisotumab vedotin in patients with advanced or metastatic solid tumours (InnovaTV 201): a first-in-human, multicentre, phase 1–2 trial(Lancet Oncology,February 07, 2019)

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