2019年2月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてインドレント非ホジキンリンパ腫またはマントル細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのベンダムスチン(商品名トレアキシン;以下トレアキシン)+リツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第III相のBRIGHT試験(NCT00877006)の5年追跡調査の結果がSarah Cannon Research Institute・Ian W. Flinn氏らにより公表された。
BRIGHT試験とは、インドレント非ホジキンリンパ腫またはマントル細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療として28日を1サイクルとして1、2日目にトレアキシン90mg/m2+1日目にリツキサン375mg/m2併用療法を投与する群(N=224人,BR)、または21日を1サイクルとして1日目にリツキサン375mg/m2+1日目にビンクリスチン1.4mg/m2+1日目にドキソルビシン50mg/m2+1日目にシクロホスファミド750mg/m2+1~5日目にプレドニゾロン100mg併用療法(R-CHOP)または21日を1サイクルとして1日目にリツキサン375mg/m2+1日目にビンクリスチン1.4mg/m2+1日目にシクロホスファミド750~1000mg/m2+1~5日目にプレドニゾロン100mg併用療法(R-CVP)を投与する群(N=223人)に分け、主要評価項目として完全奏効率(CR)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証したオープンラベルランダム化の第III相試験である。
本試験の追跡調査期間中央値BR群65.ヶ月(1.9-70.9ヶ月)、R-CHOP/R-CVP群64.1ヶ月(0.8-68.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。5年無増悪生存率(PFS)はBR群65.5%に対してR-CHOP/R-CVP群55.8%、BR群で5年病勢進行または死亡(PFS)のリスクを39%統計学有意に改善した(HR:0.61,95%信頼区間:0.45-0.85,P=0.0025)。
また、5年無全生存率(OS)はBR群81.7%に対してR-CHOP/R-CVP群85.0%、BR群で5年死亡(OS)のリスクを71%増加(HR:1.71,95%信頼区間:0.62-4.72,P=0.2973)するも両群間に統計学有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、本試験で確認されたBR群、R-CHOP/R-CVP群の治療関連有害事象(TRAE)は既存の安全性プロファイルと一致しており、5年追跡調査時点でも新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。なお、二次がんを発症した割合はR-CHOP/R-CVP群に比べてBR群で多く、扁平上皮がん、基底細胞がんなどを発症した患者がBR群で確認された。
以上のBRIGHT試験の5年追跡調査の結果よりSarah Cannon Research Institute・Ian W. Flinn氏らは以下のように結論を述べている。”インドレント非ホジキンリンパ腫またはマントル細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのトレアキシン+リツキサン併用療法は長期的にも良好な成績を示し、本治療の標準治療になり得る可能性が示唆されました。”