■この記事のポイント
・進行食道がんに対する免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体のペムブロリズマブの第1b相試験結果
・標準療法に対して効果が無くなった方対象
・ペムブロリズマブにより腫瘍一定以上縮小した方の割合は30%
・第1相試験試験結果であり、次の臨床試験に期待
1月21日から23日まで米国サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化管がんシンポジウム(ASCO GI2016)で、国立がん研究センター東病院の土井俊彦氏によって、「標準療法に対して効果が乏しくなった進行食道がんに対して、免疫チェックポイント阻害薬抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ/キートルーダ)を使用したときの安全性と効果を確認する第1b相試験(Keynote028試験)」の結果が発表されました。
本試験では、標準療法に対して食道がんまたは胃・食道接合部がん患者23名に、ペムブロリズマブ10mg/kgを2週間に1度、最大2年間投与したときの、安全性と効果を評価しました。なお、腫瘍にPD-L1発現が認められる方のみに選択されました。
安全性・有効性良好、奏効率30%、腫瘍縮小率50%以上
【安全性】
副作用発現率は39%
◆ 治療関連のグレード3(中等度から重度)以上の発現率
・食欲不振 : 4%(1人)
・リンパ球減少 : 9%(2人)
・肝障害 : 4%(1人)
・かゆみを伴う皮疹 : 4%(1人)
◆ 免疫特異的の全体の発現率 : 17%(4人)
・甲状腺機能低下症 : 9%(2人)
・副腎皮質機能低下症 : 4%(1人)
・かゆみを伴う皮疹 : 4%(1人)
【有効性】
◆ 奏効率(腫瘍が一定以上縮小する方の割合)
・30.4%
→ 腺がん40%、扁平上皮がん29%
◆ 腫瘍減少した方の割合
・52.5%
◆ 抗腫瘍効果
・腫瘍制御率 9%(腫瘍安定)
◆ 一定の治療経過時のがんが進行していない方の割合
・6か月時:30.4%
・1年時:21.7%
◆ 効果が現れるまでの期間(中央値): 3.7 ヶ月
◆ 効果の持続期間 :未到達
(効果が持続しており、医療統計学的に測定できず)
【日本実施中のペムブロリズマブの食道がん対象の臨床試験(Clinical trials.gov)】
Study of Pembrolizumab (MK-3475) in Previously-Treated Participants With Advanced Carcinoma of the Esophagus or Esophagogastric Junction (MK-3475-180/KEYNOTE-180)
記事:前原 克俊(修正・構成:可知 健太)
予備キーワード:ペンブロリズマブ