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進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対するニラパリブ+キイトルーダ、BRCA遺伝子陽性患者に対しても高い客観的奏効率を示す

この記事の3つのポイント
・進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者を対象とした第2相試験
・ニラパリブ+キイトルーダ併用療法の有効性安全性を比較検証
・良好な抗腫瘍効果を示し、特にBRCA遺伝子陽性患者に対して高い客観的奏効率を示した

2019年6月13日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対するPARP阻害薬であるニラパリブ+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のThe TOPACIO/KEYNOTE-162試験(NCT02657889)における第2相段階の結果がCase Western Reserve UniversityのShaveta Vinayak氏らにより公表された。

The TOPACIO/KEYNOTE-162試験とは、進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者(N=55人)に対して1日1回ニラパリブ200mg+3週に1回キイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢制御率(DCR)などを検証したシングルアームオープンラベルの第1/2相試験である。

本試験が実施された背景として、基礎試験においてPARP阻害薬ニラパリブ、抗PD-1抗体薬キイトルーダの併用療法は抗腫瘍効果の相乗効果があり、その効果はBRCA遺伝子、PD-L1発現率に関係のないことが示されている。以上の背景より進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対するニラパリブ+キイトルーダ併用療法の有用性が本試験で検証された。

本試験の評価可能であった47人の患者における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は21%(90%信頼区間:12-33%)、病勢制御率(DCR)は49%(90%信頼区間:36-62%)、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達を示した。

また、BRCA遺伝子ステータス別の結果は下記の通りである。BRCA遺伝子陽性群(N=15人)における客観的奏効率(ORR)は47%(90%信頼区間:24-70%)、病勢制御率(DCR)は80%(90%信頼区間:56-94%)、無増悪生存期間PFS)中央値は8.3ヶ月(95%信頼区間:2.1ヶ月-未到達)を示した。

BRCA遺伝子陰性群(N=27人)における客観的奏効率(ORR)は11%(90%信頼区間:3-26%)、病勢制御率(DCR)は33%(90%信頼区間:19-51%)、無増悪生存期間(PFS)中央値は2.1ヶ月(95%信頼区間:1.4-2.5ヶ月)を示した。

一方安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は貧血18%(N=8人)、疲労7%(N=4人)、免疫関連有害事象(irAE)15%(N=8人)。なお、本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。

The TOPACIO/KEYNOTE-162試験の結果よりShaveta Vinayak氏らは以下のように結論を述べている。”進行性転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対するPARP阻害薬ニラパリブ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、特にBRCA遺伝子陽性患者に対しても高い客観的奏効率(ORR)を示しました。”

Open-Label Clinical Trial of Niraparib Combined With Pembrolizumab for Treatment of Advanced or Metastatic Triple-Negative Breast Cancer(JAMA Oncol. 2019 Jun 13. doi: 10.1001/jamaoncol.2019.1029.)

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