7月28日から7月30日、神戸市にて日本臨床腫瘍学会学術集会が開催され6000人以上が来場。最新のがん診療における様々なディスカッションされた。開催期間中、「希少がんの診療体制及びエビデンス創出に向けての取り組み」という題材に、主に肉腫と神経内分泌腫瘍について議論がなされ、国立がん研究センター希少がん対策室の米盛 勧氏が「明細胞肉腫・胞巣状軟部肉腫のニボルマブ(オプジーボ)の医師主導治験」への取り組みについて発表した。
希少がんである肉腫(サルコーマ)は、全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生する悪性腫瘍の総称である。肉腫の発生頻度は極めて低く、悪性腫瘍全体に占める肉腫の割合は約1%に過ぎない。このようにまれな腫瘍であるにも関わらず、肉腫は若年者から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんの全身のさまざまな部位・組織から生じるため、その症状や必要とされる治療、治療効果もさまざまとなる。(希少がんセンターHP参照)
その中でも、更に希少とされている組織型である「明細胞肉腫・胞巣状軟部肉腫」に対するニボルマブ(オプジーボ)の医師主導治験がこち11月に開始されるとのことだ。例えば2010年の明細胞肉腫の患者登録数は17名であった。
実施医療機関は、国立がん研究センター中央病院、愛知県立がんセンター、大阪医療センターおよび岡山大学病院が予定されており、疾患レジストリーや臨床試験グループである日本整形外科学会全国骨・軟部腫瘤登録事業、JMOG骨軟部腫瘤診療研究を行う約10の医療機関の協力にて患者登録を推進する予定である。
試験運営にはAMED等の公的研究基金等が当てられ、製薬企業が開発しづらい超希少がんに対する臨床試験が実施される。
この他、国立がん研究センターを中心に、オプジーボの胸腺がんに対する治験も実施中とのことで、希少がん領域における免疫チェックポイント阻害薬の治験が実施されているとのことだ。
記事:可知 健太