目次
<一般的な説明>
試験概要
化学療法を受けていないステージ4の非扁平上皮非小細胞肺がん患者に、MPDL3280A(アテゾリズマブ)を非盲検(どちらを使用しているかわかる状態)にて使用して安全性と有効性を白金系製(シスプラチンまたはカルボプラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)と比較する試験です。
治験薬剤の説明
通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-L1というたんぱく質がかかわっています。MPDL3280Aはその機能を無効にできると期待されています。結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。これらの薬剤のことを免疫チェックポイント阻害薬といいます。
主な参加条件等
この試験の対象となりうる方
- 18歳以上の方
- 主要臓器の機能が保たれている方
- ステージ4の非扁平上皮非小細胞肺がんで化学療法を受けていない方
- 腫瘍組織から採取した腫瘍組織検体を提出できる方
- RECIST v1.1による測定可能病変がある方
- パフォーマンスステータスが0~1の方
この試験の対象とならない方
- 脳転移があり治療を受けていない方
- 最近5年間に他の悪性腫瘍の既往歴がある方
- 妊娠中又は授乳中の女性
- 自己免疫疾患の既往歴がある方
- 特発性肺線維症,器質化肺炎,薬物誘発性肺臓炎,特発性肺臓炎の既往歴,又はスクリーニング時の胸部CTによる活動性肺臓炎の所見がある方
- HIV検査で陽性の方
- 活動性B型肝炎又はC型肝炎の方
- CD137アゴニスト,他の免疫チェックポイント阻害剤,抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体の投与歴がある方
- 4週間以内に高度感染症に罹患した方
- 重大な心血管系疾患をもっている方
臨床試験公開情報
JAPIC No : JapicCTI-152901(最終更新2015年11月30日)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02409342(最終更新2016年3月1日)詳細はコチラ
PD-L1発現で選定された化学療法未治療のIV期非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に,シスプラチン若しくはカルボプラチン + ペメトレキセドとMPDL3280A(抗PD-L1抗体)を比較する第III相非盲検ランダム化試験(IMpower 110)
対象がん腫 | 非扁平上皮非小細胞肺がん |
フェーズ | P3 |
実施期間 | 2015年6月~2018年5月 |
実施国 | 日本、米国、ブラジル、チリ、チェコ、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、韓国、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スペイン、タイ、トルコ、英国 |
目標症例 | 400 |
状況 | 募集中 |
手法 | ランダム化,多施設共同,非盲検試験 |
被験薬名 | MPDL3280A(一般名:アテゾリズマブ、 商品名:-----) |
種類 | 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体) |
投与経路 | 静脈内投与 |
<専門的な説明>
試験概要
この非盲検ランダム化試験は、PD-L1で選択された化学療法未治療のIV期NSCLC患者を対象として、MPDL3280Aの安全性と有効性をプラチナベースレジメン+ペメトレキセドと比較する
治験薬剤の説明
MPDL3280A(抗PDL1抗体/RG7446)は、PD-L1と呼ばれるタンパク質を阻害するように設計された現在開発中のモノクローナル抗体です。MPDL3280Aは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1を標的とし、T細胞表面上のPD-1およびB7.1との結合を阻害するように設計されています。MPDL3280AによるPD-L1阻害により、T細胞が活性化されることで、腫瘍細胞を効率的に検出し攻撃する能力を取り戻すことが可能となります。
中外製薬プレスリリースより(http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20150206150000.html)
注意
・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。
臨床試験(治験)とは
・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
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初回作成:可知 健太