アブラキサン(nab-パクリタキセル)
本ページは株式会社インテリムとオンコロで共同で作成しています。
概要
一般名 | nab-パクリタキセル |
商品名 | アブラキサン |
治験薬コード | |
一般名英語表記 | Paclitaxel |
商品名英語表記 | Abraxane |
種類 | 植物アルカロイド(DDS製剤) |
種類 | |
投与経路 | 注射 |
適応がん種 | 乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、治癒切除不能な膵癌 |
特徴
アブラキサンは人血清アルブミンにパクリタキセルを結合させナノ粒子化したパクリタキセル製剤です。パクリタキセルは、水に溶けにくいため、アルコールと油を使って溶かしていました。これが原因でぜん息様の呼吸困難や発疹などの重篤なアレルギー反応を起こすことがあります。そのため前処置として、ステロイド薬、抗ヒスタミン薬などを投与する必要がありました。
また、標準的な投与法では、1回の溶解に含まれるアルコールはビール500mLに相当するとされます。こうしたことから、お酒に弱い人には使いにくい事と、投与後すぐに運転すると、飲酒運転となってしまいます。その点、アブラキサンは、ヒト血清アルブミンにパクリタキセルを結合させることで溶けやすくなりアルコールも使わないので、アレルギー様症状を起こしにくいため、前処置も必要ありません。
また、アルコール過敏症の方にも投与でるようになりました。適応は乳癌、胃癌、非小細胞肺癌とパクリタキセルには無かった治癒切除不能な膵癌があります。副作用はパクリタキセルと基本的には同じですが過敏症の副作用が大幅に軽減されています。しかし、パクリタキセルよりも投与量が多くなることから、関節痛や筋肉痛、末梢神経障害などの副作用がより出やすい傾向があります。
効能・効果
乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、治癒切除不能な膵癌
用法及び用量
乳癌にはA法又はE法を、胃癌にはA法又はD法を、非小細胞肺癌にはB法を、治癒切除不能な膵癌にはC法を使用する。
A法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回260mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
B法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
C法:
ゲムシタビンとの併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回125mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
D法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
E法:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
重大な副作用
骨髄抑制、感染症、末梢神経障害、麻痺、脳神経麻痺、ショック、アナフィラキシー、間質性肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害、脳卒中、肺塞栓、肺水腫、血栓性静脈炎、難聴、耳鳴、消化管壊死、消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍、重篤な腸炎、腸管閉塞、腸管麻痺、肝機能障害、黄疸、膵炎、急性腎不全、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、播種性血管内凝固症候群
参考リンク
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4240409D1