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未治療ALK陽性非小細胞肺がん アレセンサが有効な可能性 WCLC2015

 米国・デンバーで9月6日〜9日まで開催された世界肺癌カンファレス(WCLC2015)にて、ALK陽性非小細胞肺癌に対するアレクチニブ(商品名アレセンサ)の有効性および安全性を確認する第2相臨床試験(JP28927試験)の最新解析結果が岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科 堀田 勝幸医師によって報告されました。
 本試験は、ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者35例を対象とした、アレクチニブ20mg/40mg製剤と150mg製剤の生物学的同等性(製剤が異なっても体に吸収されて排出するまでのメカニズムが同じであること)および150mg製剤投与時の食事の影響(食事によって)を検討することが主目的の臨床薬理試験となりますが、今回、同時に確認している有効性・安全性成績について最新の解析結果が岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科 堀田 勝幸氏によって報告されました。

【対象】Stage3B/4または術後再発のALK陽性非小細胞肺がん患者
【主な適格基準】
 ・LK陽性(FISH法またはRT-PCR法)
 ・ECOG PS:0-1(多少、日常生活に支障があるが、通常の生活が可能な方)
 ・症候の有無に関わらず治療を要しない
 ・脳転移を有する患者も参加可能(通常脳転移を有する場合は臨床試験に入れない場合が多いです)

【投与方法】
 アレクチニブ 1回錠300mgを1日2回経口投与
 (40mg×7カプセル+20mg×1カプセルまたは150mg×2カプセル)

【参加患者】
 本治験に参加した方:35名
(うち、初回治療にてクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)を服用したにも関わらず病勢が進行した方:23名。初回治療として本治験医参加した方:12名)

【結果】
 ・評価可能であった30名の方の奏効率(一定以上腫瘍が縮小した方の割合):70.0%。
  うち、ザーコリ治療後に病態進行した方のみでの奏効率:65.0%。
 ・効果が表れるまでの期間の中央値は、初回治療群もザーコリ一次治療群も1.2ヵ月。
 ・がんの進行を抑える期間の中央値は、初回治療群13.9ヵ月、ザーコリ一時治療群12.9ヵ月(3.9−未到達)。
 ・脳転移されている方のがんの進行を抑える期間の中央値は12.9ヵ月。
 ・副作用は35例中28例(80%)に治療関連有害事象が認められ、重篤な治療関連有害事象は3人に認められた。
 *白血球数減少、低リン酸血症、肺塞栓:1例、軽度(グレード1)の間質性肺炎(ILD):2人。このうち、間質性肺炎を認めた2例は投与中止となっています。

 結論として、堀田 勝幸氏は「アレセンサの最新の分析結果において、高い有効性を維持しており、ザーコリ錠を服用して病勢が進行した患者にも有効性を示している」と締めくくっています。

 なお、現在、日本では初回治療としてザーコリとの比較する大規模第3相試験が行われています(募集終了しています)。
  J-ALEX(ジェイ−アレックス)試験:日本人対象(JAPIC-CTI)

事:前原 克章(一部:可知 健太)

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