現地時間、5月18日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、膀胱がんのうち尿路上皮がんに対して、免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アテゾリズマブを承認したと発表した。米国商品名はTECENTRIQ(テセントリク)。
免疫チェックポイント阻害薬にとしては、PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)、同ペムブロリズマブ(米国商品名キイトルーダ)に続き、3剤目となるが、アテゾリズマブはPD-L1抗体であり、腫瘍細胞上のPD-L1というタンパクに結合することにおいては作用機序が異なる。
免疫チェックポイントは、免疫細胞上のPD-1タンパクと腫瘍細胞上のPD-L1タンパクが結合することにより、免疫細胞から腫瘍細胞への攻撃にブレーキを取る仕組みとなっており、オプジーボとキイトルーダは免疫細胞上のPD-1に結合、アテゾリズマブは腫瘍細胞にPD-L1に結合するためである。
今回の承認では、進行・転移尿路上皮がんにおいて、プラチナ製剤による化学療法を実施後にがんが悪化した方、術前化学療法および術後補助化学療法を含みプラチナ製剤使用後12カ月以内にがんが悪化した方が適応となる。なお、膀胱がんに対しての免疫チェックポイント阻害薬の承認は今回が初めてである。
FDA approves new, targeted treatment for bladder cancer
今回の承認は、310名を対象とした第2相臨床試験(IMvigor 210 )結果を元としており、主なデータは以下の通り。
IC:数字が大きいほど、腫瘍に浸潤した免疫細胞が多い。
なお、本試験の詳細は、3月4日にLancetに掲載されており、オンコロでは現在準備中となる。
Jonathan E Rosenberg et al, Lancet, 2016; 387: 1909–20
◆臨床試験情報
筋層浸潤性膀胱がん 膀胱切除術後に再発防止に使用する免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの第3相試験
記事:可知 健太
キーワード Atezolizumab