6月1日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、非小細胞肺がんにおけるEGFR変異について、血中循環腫瘍DNA(リキッドバイオプシー)検査を承認した。なお、これにより、エルロチニブ(タルセバ)を使用する際という限定的なものではあるが、血液検査によるEGFR変異の確認が可能となった。
非小細胞肺がんのうち、10~20%にEGFR変異が認められると言われている。
従来、EGFR変異の確認には、腫瘍組織を採取して、その組織を免疫染色することにより変異を確認する必要があった。しかしながら、「侵襲性の問題」、「病理医の主義の差」や「腫瘍組織を採取できない場合は確認ができない」といった問題点があった。
今回、血液中の腫瘍細胞DNA断片からEGFR変異を確認する手法となり、上記の問題がクリアされた。
現在、様々ながん種において、リキッドバイオプシーの精度について研究が進む。
米国時間、6月3日から6月7日に開催される米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2016)においても、高精度医療(Precision Medicine;プレシジョンメディシン)に関する記者会見において「進行がん患者15,000人から採取した血中循環腫瘍DNA(リキッドバイオプシー)の次世代シークエンシングの結果を、旧来の組織バイオプシーと比較した結果(抄録番号 LBA11501);(訳)海外がん医療情報リファレンス」にて、様々ながん種のリキッドバイオプシーに関する最新知見が発表される。
プレシジョンメディシンとは?
プレシジョンメディシン(Precision Medicine)は、日本語では高精度医療といい、がん細胞の遺伝子を次世代シークエンサーで解析し、がんの原因となった遺伝子変異を見つけ、その遺伝子変異に効果があるように設計した分子標的薬を使用するといった手法です。テーラーメード医療や個別化医療の一種です。
プレシジョンメディシン-オンコロ辞典
記事:可知 健太