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ALKまたはROS1陽性非小細胞肺がん 第三世代ALK阻害剤ローラチニブの有望なデータを発表 ASCO2016

目次

次世代ALK/ROS1阻害剤であるローラチニブ錠の第1/2相試験で新たに得られた有望なデータを発表

6月3日から7日までシカゴで開催された第52回米国臨床腫瘍学会のAnnual Meeting(年次総会)にて、オーストラリア・メルボルン Peter Mac- Callum がんセンターのBenjamin J. Solomon 氏によって発表された。

試験概要

発表されたデータは、前治療歴のないまたは1回以上のチロシンキナーゼ阻害薬治療後に病勢進行を認めた、脳転移の有無を問わない、ALK陽性またはROS1陽性非小細胞肺がんを対象とした第1相用量漸増試験から得られたもの。

第1相試験では、ローラチニブ錠は1日に1回または2回連続投与された。主要評価項目は、最大耐量と第2相試験以降で用いる推奨用量の決定。約10の用量レベル(10~200mg)を検討し、第2相試験での推奨用量を100mg1日1回と決定した。その他の評価項目として、安全性有効性の評価(脳転移への効果の検討を含む)が含まれている。

2016年1月15日までに54人が同試験に参加して治療を受けており、その内訳はALK陽性41例、RO1陽性12例、不明1例。多くの患者はチロシンキナーゼ阻害薬による前治療歴を有しており、前治療歴1回が20例、2回以上が27例だった。また、39例は臨床試験参加時に脳転移を有していた。

有効性

ALK陽性転移性非小細胞肺癌の3例に完全奏効が、16例に部分奏効が認められ、奏効率は46%(31-63)だった。無増悪生存期間中央値は11.4か月(3.4-16.6)。

なお、参加した患者の大部分は2剤以上のALK 治療薬投与歴を有していた。さらに、ローラチニブ錠は、ALK陽性またはROS1陽性転移性非小細胞肺癌において脳転移の腫瘍縮小効果を示した。

安全性(副作用)

第1相試験で最も多く認められた有害事象(AE)は、高コレステロール血症が69%および末梢性浮腫が37%だった。高コレステロール血症は、治験薬と関連ありと判断されたグレード3以上のAEで最も多く認められた(11%)ものであり、投与中断または減量理由として最多だった。副作用により試験を中止した症例はなかった。第2相試験推奨用量の投与を受けた17例のうち、グレードを問わない副作用によって投与中断または一時休薬を要したのは4例だった。

まとめ

ALK陽性またはROS1陽性の転移性非小細胞肺癌に対し、今回得られたデータは、繰り返し治療を受けた患者、また脳転移を有する患者といった幅広い患者層にローラチニブ錠が有効である可能性を示唆された。現在、第2相試験が計画中である。

Safety and efficacy of lorlatinib (PF-06463922) from the dose-escalation component of a study in patients with advanced ALK+ or ROS1+ non-small cell lung cancer (NSCLC).

記事:前原 克章

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