2018年1月19日、医学誌『Lancet Oncology』にて切除不能転移性または局所進行サルコーマ(肉腫)患者に対するニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)±イピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02500797)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer Center・Sandra P D’Angelo氏らにより公表された。
本試験は、切除不能転移性または局所進行サルコーマ(肉腫)患者(N=85人)に対して2週間に1回の投与間隔でオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群(N=43人)、または2週間に1回の投与間隔でオプジーボ3mg/kg+3週間に1回の投与間隔でヤーボイ1mg/kg併用療法を投与する群(N=42人)に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として完全奏効(CR)+部分奏効(PR)として定義された客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、有害事象(AE)発症率などを検証した多施設共同オープンラベルの第II相試験である。
本試験に登録された患者のサルコーマ(肉腫)の種類別内訳は下記の通りである。平滑筋の肉腫34%(N=29人)、紡錘形細胞の肉腫13%(N=11人)、未分化多形肉腫もしくは悪性線維性組織球腫13%(N=11人)、骨の肉腫11%(N=9人)、脂肪の肉腫6%(N=5人)、その他24%(N=10人)である。
本試験の評価可能であった76人の患者群における結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ単剤療法群5%(95%信頼区間:1-16,N=2/38人)、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群16%(95%信頼区間:7-30,N=6/38人)であった。なお、オプジーボ単剤療法で客観的奏効率(ORR)が確認された2人の患者のサルコーマ(肉腫)の種類は胞巣状軟部肉腫(N=1人)、非子宮平滑筋肉腫(N=1人)。オプジーボ+ヤーボイ併用療法で客観的奏効率(ORR)が確認された6人の患者のサルコーマ(肉腫)の種類は子宮平滑筋肉腫(N=1人)、非子宮平滑筋肉腫(N=1人)、粘液線維肉腫(N=1人)、未分化多形肉腫もしくは悪性線維性組織球腫(N=2人)、血管肉腫(N=1人)である。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ単剤療法群1.7ヶ月(95%信頼区間:1·4–4·3ヶ月)、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群4.1ヶ月(95%信頼区間:2·6–4·7ヶ月)、全生存期間(OS)中央値はオプジーボ単剤療法群10.7ヶ月(95%信頼区間:5·5–15·4ヶ月)、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群14.3ヶ月(95%信頼区間:9·6–未到達)であった。
一方の安全性は、オプジーボ単剤療法群で最も一般的に確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(AE)は貧血10%(N=4人)、リンパ球数減少7%(N=3人)、そして脱水、リパーゼ増加、痛み、胸水、呼吸不全、二次がん、尿路閉塞をそれぞれ5%(N=2人)の患者で確認された。
また、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群で最も一般的に確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(AE)は貧血19%(N=8人)低血圧10%(N=4人)、そして痛み、尿路感染症をそれぞれ7%(N=3人)の患者で確認された。
重篤な有害事象(AE)としてはオプジーボ単剤療法群で19%(N=8人)、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群で26%(N=11人)の患者で確認され、その内訳は貧血、食欲不振、脱水、血小板数減少、下痢、疲労、発熱、クレアチニン増加、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)増加、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)増加、低ナトリウム血症であった。
以上の第II相試験の結果よりSandra P D’Angelo氏らは以下のように述べている。”オプジーボ単剤療法の有効性は限定的ですが、オプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性はサルコーマ(肉腫)の種類により有用性がある可能性があります。ドキソルビシン単剤療法、ゲムシタビン+ドセタキセル併用療法などの現在のサルコーマ(肉腫)の治療方法が客観的奏効率(ORR)18%程度であることからも、オプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性をさらに検証していく価値があります。”