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先駆け審査指定制度の対象品目としてDS-8201、エントレクチニブ、テポチニブおよびNY-ESO-1・siTCR遺伝子治療の4品目が指定される

2018年3月27日、厚生労働省は昨年11月までに「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定申請があった医薬品、医療機器や再生医療等製品について評価を行い、医薬品6品目(うち、がん関連3品目)、医療機器2品目(うち、がん関連なし)および再生医療等製品3品目(うち、がん関連1品目)、を「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定した。

「先駆け審査指定制度」とは対象疾患の重篤性など一定の要件を満たす画期的な新薬を開発の早期段階から対象品目に指定することで薬事承認に関する相談・審査を優先的に取扱い、承認審査の期間を短縮することを目的としたものである。通常の新医薬品及び新医療機器の場合、審査期間12 か月を要するが、この制度を活用することで審査期間6ヶ月程度に短縮できる。

今回指定されたがん関連の医薬品3品目、再生医療等製品1品目は下記の通りである。

目次

Trastuzumab deruxtecan(DS-8201)

品目名:Trastuzumab deruxtecan(DS-8201)
申請者:第一三共株式会社
予定効能:がん化学療法後に増悪した HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
指定理由:HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるTrastuzumab deruxtecan(DS-8201)は、抗体と薬物を適切なリンカーを介して結合させた薬物であり、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介し薬物をがん細胞へ直接届けることで薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めている。胃癌の中でHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌は15%程度であるが、生命に重大な影響がある重篤な疾患でありTrastuzumab deruxtecan(DS-8201)の高い有効性臨床試験の結果より期待されている。その臨床試験結果は、標準的な治療が無効となったHER2陽性治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者に対して奏効率43%を示している。現在は第Ⅱ相試験を実施中であり、世界に先駆けて日本で承認申請される予定である。

Entrectinib

品目名:Entrectinib
申請者:Ignyta
予定効能:前治療後に疾患が進行又は許容可能な標準治療がないNTRK 融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する成人及び小児固形がん患者の治療
指定理由:Entrectinibは、TRK(トロポミオシン受容体キナーゼ)などを阻害することで抗腫瘍効果を発揮する医薬品である。NTRK融合遺伝子は主要な固形癌種の内1%未満の患者が有する遺伝子であるが、生命に重大な影響がある重篤な疾患でありEntrectinibの高い有効性が臨床試験の結果より期待されている。現在は第Ⅱ相試験実施中であり、世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

MSC2156119J(テポチニブ)

品目名:MSC2156119J(テポチニブ)
申請者: メルクセローノ株式会社
予定効能:METエクソン14スキッピング変異を有する進行(IIIB/IV期)非小細胞肺がん
指定理由:MSC2156119J(テポチニブ)は肝細胞増殖因子受容体(c-MET)に対して阻害作用を有する新規作用機序医薬品である。MET 遺伝子は過剰発現(遺伝子増幅)がみられる「がん遺伝子」の一つである。MET 遺伝子は HGF(肝細胞増殖因子)をリガンドとする受容体チロシンキナーゼであり、HGFと結合することで細胞の増殖、運動性を増加するシグナルを活性化させ、腫瘍の形成や悪性化に関連すると考えられている。非小細胞肺がんの中でMETエクソン14スキッピング変異を有する患者は3%程度であるが、生命に重大な影響がある重篤な疾患でありMSC2156119J(テポチニブ)の高い有効性が臨床試験の結果より期待されている。現在は国際共同第Ⅱ相試験実施中であり、世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

TBI-1301(NY-ESO-1・siTCR遺伝子治療)

品目名:TBI-1301(NY-ESO-1・siTCR遺伝子治療)
予定効能:がん抗原を特異的に認識する受容体の遺伝子を、患者のリンパ球に体外で導入後、患者の体内に再投与することで、がん細胞を攻撃し、滑膜肉腫の治療を行う。
指定理由: 腫瘍抗原(NY-ESO-1)特異的に結合するT 細胞受容体(TCR)の遺伝子を、レトロウイルスベクターにより患者自身のT リンパ球に体外で導入し、拡大培養後に自家輸注するという点において新規性があり、画期性が高い。また、滑膜肉腫は、悪性軟部腫瘍の一つで、悪性度が高く、局所転移及び遠隔転移を生じる予後不良の疾患であり、化学療法、分子標的薬の奏効率は10%程度である。国内で1つの医師主導臨床試験が実施されており、滑膜肉腫2例で高い有効性を示唆する結果(本品の使用による高い腫瘍縮小率(約40%))が得られた。また、本品と同一の抗原を認識する類似製品での海外臨床試験(18 例)において、高い有効性を示唆する結果(本品の使用による高い奏効率(61%))が得られたとの報告がある。国内で臨床試験(企業治験)を実施中であり、世界に先駆けて日本で承認申請予定。
※本剤はオンコロで初めて取り上げます。詳しくはコチラ(タカラバイオ社ホームページへ)

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