2018年2月16日より18日までアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されたThe Cancer Survivorship Symposiumのポスターセッションにて、術前化学療法中の乳がん、大腸がん患者に対する運動の疲労軽減、身体活動向上の効果を検証したPACT試験(Abstract 99)の結果がUniversity Medical Center Utrecht・Anne Maria May氏らにより公表された。
PACT試験とは、術後化学療法治療中のステージI-III乳がん患者(N=204人)、ステージI-III大腸がん患者(N=33人)に対して1週間に2回の頻度で理学療法士監視下にて60分間のサイクリング、ジョギングなどの有酸素運動、筋力トレーニングをし、1週間3回の頻度で自宅にて30分間の身体活動をする群(運動強化療法群)、または通常の身体活動をする群(通常ケア群)に無作為に振り分け、ベースライン時より4年後のMultidimensional Fatigue Inventory(MFI)に基づく疲労スコア、Short Questionnaire to Assess Health-enhancing Physical Activity(SQUASH)に基づく身体活動レベルを比較検証した多施設共同試験である。
なお、本試験に参加した患者204人の内4年後に生存していた患者は128人、その内訳は乳がん患者110人、大腸がん患者18人であり、運動強化療法群は70人、通常ケア群は58人である。
本試験の結果、ベースライン時より4年後の疲労スコアは通常ケア群に比べて運動強化療法群で-1.13(95%信頼区間:-2.45~0.20)減少を示したが、統計学的有意な差は確認されなかった。また、身体活動スコアも疲労スコア同様に通常ケア群に比べて運動強化療法群で高く、その値は141.77分/週(95%信頼区間:1.31~281.61)を示していた。
以上のPACT試験の結果よりAnne Maria May氏らは以下のように結論を述べている。”化学療法中の運動は、疲労、吐き気、痛みなどの治療関連有害事象(TRAE)を減少させる効果があることはよく知られています。しかし、4年間の長期に渡ってその効果があることを証明した試験はPACT試験が初めてです。”