・TRINITY試験とは、DLL3陽性再発難治性小細胞肺がん患者に対する三次治療以降として抗DLL3抗体薬物合体であるRovalpituzumab tesirine(Rova-T)を投与し、有効性と安全性を検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である外部独立評価委員会(IRC)評価による全患者群における客観的奏効率(ORR)は12.4%を示し、DLL3高発現例では14.3%を示した
・Rovalpituzumab tesirine(Rova-T)の主なグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は血小板減少、光線過敏症、貧血、疲労、胸水貯留であった
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、DLL3陽性再発難治性小細胞肺がん(SCLC)患者に対する三次治療以降の抗DLL3抗体薬物合体であるRovalpituzumab tesirine(Rova-T)単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相のTRINITY試験(NCT02674568)の結果がOhio State University・David P. Carbone氏らにより公表された。
TRINITY試験とは、小細胞肺がん患者の85%以上で発現しているDLL3陽性の再発難治性小細胞肺がん患者(N=339人)に対する三次治療以降として6週間を1サイクルとして1日目にRovalpituzumab tesirine(Rova-T)0.3mg/kg単剤療法を2サイクル投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)を検証した単アームの第II相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である外部独立評価委員会(IRC)評価による全患者群(N=339人)での客観的奏効率(ORR)は12.4%(95%信頼区間:9.1%-16.4%)であった。また、DLL3高発現例(N=238人)における治験医師評価による客観的奏効率(ORR)は14.3%(95%信頼区間:10.1%-19.4%)であった。
なお、治療ライン別の外部独立評価委員会(IRC)評価による全患者群(N=339人)での客観的奏効率(ORR)は3次治療群(N=177人)で16%に対して四次治療以降群(N=61人)で10%、臨床的有用率(CR+PR+35日以降のSD)は3次治療群で72%に対して四次治療以降群で77%。治療ラインにより奏効率の明らかな差は認められなかった。
一方、DLL3発現率別の外部独立評価委員会(IRC)評価による3次治療群の客観的奏効率(ORR)、臨床的有用率(CR+PR+35日以降のSD)はDLL3高発現群(N=177人)が16%、72%に対してDLL3非高発現群(N=63人)が6%、57%。DLL3高発現群で客観的奏効率(ORR)、臨床的有用率(CR+PR+35日以上のSD)が良好であった。
また、全患者群(N=339人)での全生存期間(OS)中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:4.9-6.1ヶ月)、DLL3高発現例(N=238人)における全生存期間(OS)中央値は5.7ヶ月(95%信頼区間:4.9-6.7ヶ月)であった。
一方の安全性として、Rovalpituzumab tesirine(Rova-T)で発症したグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。血小板減少11%(N=37人)、光線過敏症7%(N=23人)、貧血4%(N=12人)、疲労4%(N=12人)、胸水貯留4%(N=14人)であった。
以上のTRINITY試験の結果よりDavid P. Carbone氏らは以下のように結論を述べている。”DLL3陽性再発難治性小細胞肺がん患者に対する三次治療以降に抗体DLL3抗体薬物合体であるRovalpituzumab tesirine(Rova-T)単剤療法は有用です。また、忍容性は良好ですが、体液貯留、光線過敏症などには注意が必要です。”