・KEYNOTE-158試験とは、標準治療歴のある進行型小細胞肺がん患者に対して抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は患者全体で18.7%、PD-L1陽性群で35.7%、PD-L1陰性群で6.0%であった
・本試験の副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は患者全体で8.7ヶ月、PD-L1陽性群で14.9ヶ月、PD-L1陰性群5.9ヶ月であった
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、標準治療歴のある進行型小細胞肺がん(SCLC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第II相のKEYNOTE-158試験(NCT02628067)の結果がYonsei University College of Medicine・Hyun Cheol Chung氏らにより公表された。
KEYNOTE-158試験とは、標準治療歴のある進行型小細胞肺がん患者(N=107人)に対して3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第II相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は63.0歳(24-84歳)。性別は男性70%(N=75人)。ECOG Performance Statusはスコア0が35%(N=37人)、スコア1が69%(N=65人)。脳転移歴はあり15%(N=16人)。前治療歴レジメン数は術前または術後化学療法歴1%(N=1人)、1レジメン42%(N=45人)、2レジメン34%(N=36人)、3レジメン以上23%(N=25人)。PD-L1陽性率は1%以上が39%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目として客観的奏効率(ORR)は18.7%(95%信頼区間:11.8%-27.4%)を示し、奏効率(RR)の内訳は完全奏効(CR)3%(N=3人)、部分奏効(PR)16%(N=17人)、病勢安定(SD)11%(N=12人)、病勢進行(PD)58%(N=62人)であった。また、PD-L1陽性率別の客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。
PD-L1陽性群(N=42人)では客観的奏効率(ORR)は35.7%(95%信頼区間:21.6%-52.0%)を示し、奏効率(RR)の内訳は完全奏効(CR)5%(N=2人)、部分奏効(PR)31%(N=13人)、病勢安定(SD)7%(N=3人)、病勢進行(PD)52%(N=22人)。
PD-L1陰性群(N=50人)では客観的奏効率(ORR)は6.0%(95%信頼区間:1.3%-16.5%)を示し、奏効率(RR)の内訳は完全奏効(CR)2%(N=1人)、部分奏効(PR)4%(N=2人)、病勢安定(SD)14%(N=7人)、病勢進行(PD)58%(N=29人)。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)は、奏効を示した患者の73%で12ヶ月以上の持続効果を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は患者全体で2.0ヶ月(95%信頼区間:1.9-2.1ヶ月)、PD-L1陽性群で2.1ヶ月(95%信頼区間:2.0-8.1ヶ月)、PD-L1陰性群1.9ヶ月(95%信頼区間:1.6-2.0ヶ月)を示した。
全生存期間(OS)中央値は患者全体で8.7ヶ月(95%信頼区間:5.6-12.0ヶ月)、PD-L1陽性群で14.9ヶ月(95%信頼区間:5.6ヶ月-未到達)、PD-L1陰性群5.9ヶ月(95%信頼区間:3.3-10.1ヶ月)を示した。
以上のKEYNOTE-158試験の結果よりHyun Cheol Chung氏らは以下のように結論を述べている。”標準治療歴のある進行型小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法は客観的奏効率(ORR)は18.7%を示し、特にPD-L1陽性群では35.7%と良好でした。”