2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ(商品名バベンチオ;以下バベンチオ)+チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるアキシチニブ(商品名インライタ;以下インライタ)併用療法の有効性を比較検証した第III相のJAVELIN Renal 101試験(NCT02684006)の結果が公表された。
JAVELIN Renal 101試験とは、未治療の進行性腎細胞がん患者(N=886人)に対してファーストライン治療として2週間に1回バベンチオ10mg/kg+1日2回アキシチニブ5mg併用療法を投与する群(N=442人)、または1日1回スーテント50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬する群(N=444人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率陽性患者群における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現率陽性患者群における全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPD-L1発現率陽性患者群(PD-L1≧1%)における無増悪生存期間(PFS)中央値はバベンチオ+アキシチニブ群13.8ヶ月に対してスーテント単剤群7.2ヶ月、スーテント群に比べてバベンチオ+アキシチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に39%減少(HR:0.61,P< .0001)した。
また、PD-L1発現率ステータスの有無に関係のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はバベンチオ+アキシチニブ群13.8ヶ月に対してスーテント群8.4ヶ月、スーテント群に比べてバベンチオ+アキシチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に31%減少(HR:0.69,P=.0001)した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はバベンチオ+アキシチニブ群55.2%(95%信頼区間:49.9%-61.2%)に対してスーテント群25.5%(95%信頼区間:20.6%-30.9%)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はバベンチオ+アキシチニブ群71.2%に対してスーテント群71.5%。治療関連有害事象(TRAE)により治療中止に至った患者はバベンチオ+アキシチニブ群22.8%に対してスーテント群13.4%。
以上のJAVELIN Renal 101試験の結果より、Memorial Sloan Kettering Cancer Center・Robert Motzer氏は下記のようにコメントを述べている。”本試験は、未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療として、抗PD-L1抗体薬であるバベンチオがスーテント単剤療法に優越性を示した初の第III相試験の結果になります。また、サブグループ解析より全ての患者において無増悪生存期間(PFS)の優越性が示されております。”