・2レジメン以上の前治療歴のあるMMR欠損のない転移性大腸がん患者に対する第2相試験
・キイトルーダ+GVAX+シクロホスファミド併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は0%だったが、腫瘍マーカーを減少させた
2019年1月17日~1月19日に米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて、少なくとも2レジメン以上の前治療歴のあるMMR欠損のない(proficient mismatch repair;pMMR)転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+がんワクチンであるGVAX+シクロホスファミド併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02981524)の結果がJohns Hopkins Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのMark Yarchoan氏らにより公表された。
本試験は、少なくとも2レジメン以上の前治療歴のあるMMR欠損のない(pMMR)転移性大腸がん患者(N=17人)に対して3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg+2日目にGVAX+1日目にシクロホスファミド200mg/m2併用療法を4サイクル投与後、維持療法として3週間毎にキイトルーダ200mg+12週間毎にGVAX+シクロホスファミド200mg/m2を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した非盲検下単群の第2相試験である。
本試験が実施された背景として、がんワクチンであるGVAXはがん細胞にGM-CSF遺伝子を導入することでGM-CSFを分泌し、腫瘍関連抗原に対するT細胞免疫を誘導することが判っている。また、過去の臨床試験で低用量シクロホスファミドとの併用療法の有効性が示されている。以上の背景より、転移性大腸がん患者に対するキイトルーダ+GVAX+シクロホスファミド併用療法の有用性が検証された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は0%であった。また、病勢コントロール率(DCR)は治験医師判定では18%、独立評価機関判定では29%を示した。なお、腫瘍マーカーであるCEA値30%以上の減少は41%(N=7/17人)を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は2.7ヶ月、全生存期間(OS)中央値は7.0ヶ月を示した。一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は12%(N=2人)を示した。
第2相試験の結果よりJohns Hopkins Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center・Mark Yarchoan氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のあるMMR欠損のない(pMMR)転移性大腸がん患者に対するキイトルーダ+GVAX+シクロホスファミド併用療法は、客観的奏効率(ORR)が0%でしたが、腫瘍マーカーを減少させました。抗PD-1抗体薬単剤でこのような効果は確認されておりませんので、この効果はがんワクチンであるGVAXにより抗腫瘍免疫反応による可能性があります。”