2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催されている第60回米国血液学会(ASH)にて、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)適応のある新規多発性骨髄腫患者に対する抗CD38抗体薬であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+免疫調節薬(iMids)であるレナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)+デキサメタゾン(Dara‐VRd)療法の有効性を比較検証した第2相試験(NCT02874742)の途中結果がLevine Cancer Institute/Atrium Health・Peter M. Voorhees氏らにより公表された。
本試験は、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)適応のある新規多発性骨髄腫患者に対してダラザレックス16mg/kg(1~4サイクル目は3週を1サイクルとして1、8、15日目、5~6サイクル目は3週を1サイクルとして1日目、それ以降は4週を1サイクルとして1日目)+1日1回レブラミド(1~6サイクル目は21日を1サイクルとして1~14日目に25mg、7サイクル目以降は28日を1サイクルとして1~21日目に10~15mg)+ベルケイド1.3mg/m2(1~6サイクル目は3週を1サイクルとして1、4、8、11日目)+1週を1サイクルとして1日目に1日1回デキサメタゾン40mgを投与する群、またはVRdを投与する群に分けて、主要評価項目として地固め療法終了時点の厳格な完全寛解率(sCR)を比較検証した多施設共同無作為化非盲検の第2相試験である。
なお、本試験は1~4サイクル目を導入療法、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)後の5~6サイクル目を地固め療法、7サイクル目以降の24ヶ月を維持療法としている。
本試験に登録されたDara‐VRd療法群(N=16人)の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は62.5歳。性別は男性50%。ISS分類により病期はISSステージIが75%、ステージII/IIIが25%。
以上の背景を有する患者に対する本試験のDara‐VRd療法群における結果は下記の通りである。Dara‐VRd療法群における地固め療法終了時点の最良奏効率(VGPR)は100%、完全寛解率(CR)以上は63%を示した。なお、微小残存病変(MRD)陰性化を達成した患者は8人で確認された。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は100%(N=16/16人)、重篤な有害事象(SAE)発症率は63%(N=10/16人)、グレード3/4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は88%(N=14/16人)。また、10%以上の患者で確認されたグレード3/4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症、肺炎、血小板減少症、リンパ球減少症、発熱性好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症であった。
以上の第2相試験の途中結果よりPeter M. Voorhees氏らは以下のように結論を述べている。”大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)適応のある新規多発性骨髄腫患者に対するDara‐VRd療法は、忍容性が良好であり、地固め療法終了時点における最良奏効率(VGPR)は100%を示しました。今回の報告は途中報告になりますが、本試験の目標登録症例数である200例は既に達成しておりますので、来年には本試験の主要評価項目である地固め療法終了時点の厳格な完全寛解率(sCR)を公表できるでしょう。”