がん情報サイト「オンコロ」

標準治療に不応となった切除不能胃がん患者に対するロンサーフ、胃切除の有無に関係なく全生存期間を改善

この記事の3つのポイント
・既治療の切除不能胃がん患者が対象の第3相TAGS試験
・ロンサーフの有効性を比較検証
・胃切除の有無に関係なく、忍容性や抗腫瘍効果は良好だった

2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて既治療の切除不能胃がん患者に対するトリフルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ;以下ロンサーフ)の有効性を比較検証した第3相のTAGS試験(NCT02500043)のサブグループ解析の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのDavid H. Ilson氏らにより公表された。

TAGS試験とは、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者(N=507人)に対して28日を1サイクルとして1~5日、8~12日目に1日2回ロンサーフ35mg/m2を+ベストサポーティブケアBSC;以下BSC)を投与する群、またはプラセボ+BSCを投与する群に2対1の割合で無作為に分け、主要評価項目として全生存期間OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、安全性、忍容性などを比較検証したランダム化二重盲検下国際共同の第3相臨床試験である。

なお、今回の公表ではTAGS試験に登録された患者を胃切除歴のある患者(ロンサーフ群147人,プラセボ群74人)、ない患者(ロンサーフ群190人,プラセボ群96人)に分けて結果を解析している。

本試験の結果、主要評価項目である胃切除歴のある患者群における全生存期間(OS)中央値はロンサーフ群6.0ヶ月(95%信頼区間:4.6–7.0ヶ月)に対してプラセボ群3.4ヶ月(95%信頼区間:2.7–3.8ヶ月)を示した。また、胃切除歴のない患者群における全生存期間(OS)中央値はロンサーフ群5.6ヶ月(95%信頼区間:4.6–6.2ヶ月)に対してプラセボ群3.8ヶ月(95%信頼区間:3.1–5.9ヶ月)を示した。

なお、胃切除歴のある患者群における6ヶ月全生存率(OS)はロンサーフ群50%(95%信頼区間:41–58%)に対してプラセボ群24%(95%信頼区間:15–35%)を示した。また、胃切除歴のない患者群における6ヶ月全生存率(OS)はロンサーフ群44%(95%信頼区間:37–52%)に対してプラセボ群39%(95%信頼区間:30–49%)を示した。

胃切除歴のある患者群における12ヶ月全生存率(OS)はロンサーフ群20%(95%信頼区間:12–28%)に対してプラセボ群9%(95%信頼区間:3–19%)を示した。また、胃切除歴のない患者群における12ヶ月全生存率(OS)はロンサーフ群22%(95%信頼区間:16–30%)に対してプラセボ群16%(95%信頼区間:8–26%)を示した。

一方の安全性として、胃切除歴のある患者群における全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はロンサーフ群84%に対してプラセボ群60%、胃切除歴のない患者群における全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はロンサーフ群76%に対してプラセボ群56%を示した。

胃切除歴のある患者群において最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はロンサーフ群で好中球減少症28%、貧血21%、好中球数減少17%、リンパ球減少症10%、倦怠感2%に対してプラセボ群で倦怠感5%、貧血4%。

胃切除歴のない患者群において最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はロンサーフ群で好中球減少症19%、貧血17%、倦怠感11%、好中球数減少7%、リンパ球減少症4%に対してプラセボ群で貧血11%、倦怠感6%。

以上のTAGS試験のサブグループ解析の結果よりDavid H. Ilson氏らは以下のように結論を述べている。”胃切除の有無に関係なく、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者に対するロンサーフは忍容性も問題なく、抗腫瘍効果も良好でした。”

Efficacy and safety of trifluridine/tipiracil (FTD/TPI) in patients (pts) with metastatic gastric cancer (mGC) with or without prior gastrectomy: Results from a phase III study (TAGS).(ASCO GI 2019, Presented Thursday, January 17, 2019)

×
モバイルバージョンを終了