・進行性胆道がん患者が対象の第2相試験
・ゲムシタビン+シスプラチン+アブラキサン併用療法の有効性・安全性を検証
・ゲムシタビン+シスプラチン併用療法よりも無増悪生存期間、全生存期間が良好だった
2019年4月18日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性胆道がん患者に対するゲムシタビン+シスプラチン+ナブパクリタキセル(商品名アブラキサン;以下アブラキサン)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02392637)の結果がUniversity of Arizona Cancer CenterのRachna T. Shroff氏らにより公表された。
本試験は、進行性胆道がん患者(N=62人)に対して21日を1サイクルとして1、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+シスプラチン25mg/m2+ナブパクリタキセル125mg/m2併用療法を投与し、主要評価項目として主治医判断の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、進行性胆道がん患者に対するファーストラインの標準治療としてはゲムシタビン+シスプラチン併用療法であるが、その全生存率(OS)は1年未満である。アブラキサンはアルブミンを結合したパクリタキセルであり、他の試験でゲムシタビンの抗腫瘍効果を高めることが確認されている。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は58.4歳。性別は男性55%(N=33人)に対して女性45%(N=27人)。ECOG Performance Statusはスコア0が37%(N=22人)、スコア1が63%(N=38人)。病期ステージは転移性78%(N=47人)、局所進行性22%(N=13人)。CA19-9値は99U/ml(15-722)。
以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値12.2ヶ月(95%信頼区間:9.4-19.4ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である主治医判断の無増悪生存期間(PFS)中央値は11.8ヶ月(95%信頼区間:6.0-15.6ヶ月)を示した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は45%を示した。なお、病勢制御率(DCR)は84%である。その他評価項目である全生存期間(OS)中央値は19.2ヶ月(95%信頼区間:13.2ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率58%を示し、治療関連有害事象(TRAE)により治療中止率は16%(N=9人)の患者で確認された。なお、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は好中球減少症であり、全グレードの好中球減少症を発症した患者は33%(N=19人)であった。
以上の第2相試験の結果よりRachna T. Shroff氏らは以下のように結論を述べている。”進行性胆道がん患者に対するゲムシタビン+シスプラチン+アブラキサン併用療法は、現在の標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用療法の過去の成績よりも無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が良好でした。”