・METエクソン14スキッピング変異陽性進行非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・MET阻害薬Capmatinib(INC280)単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は既治療群40.6%、未治療群67.9%で、忍容性も問題なかった
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、METエクソン14スキッピング変異陽性進行非小細胞肺がん患者に対するMET阻害薬であるCapmatinib(INC280)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のGEOMETRY mono-1試験(NCT02414139)の結果がTranslational Lung Cancer ResearchのJuergen Wolf氏らにより公表された。
GEOMETRY mono-1試験とは、METエクソン14スキッピング変異陽性進行非小細胞肺がん患者(N=97人)に対して1日2回Capmatinib(INC280)400mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)を検証した複数コホート多施設試験の第2相試験である。なお、登録された97人の患者の内69人は既治療群、28人は未治療群に分かれている。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は既治療群で71歳(49-90歳)に対して未治療群71歳(57-86歳)。性別は既治療群で女性58.0%、男性42.0%に対して未治療群で女性64.3%、男性35.7%。ECOG Performance Statusは既治療群でスコア0が23.2%、スコア1が75.4%、スコア2が1.4%に対して未治療群でスコア0が25.0%、スコア1が75.0%。
組織学的分類は既治療群で腺がん76.8%、扁平上皮がん8.7%、その他14.5%に対して未治療群で腺がん89.3%、扁平上皮がん7.1%、その他3.6%。転移部位は既治療群で脳15.9%、肝臓23.2%、骨59.4%、副腎15.9%に対して未治療群で脳10.7%、肝臓14.3%、骨57.1%、副腎21.4%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は既治療群40.6%(95%信頼区間:28.9%-53.1%)、未治療群67.9%(95%信頼区間:47.6%-84.1%)。
その他評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は既治療群5.43ヶ月(95%信頼区間:4.17-6.97ヶ月)、未治療群9.69ヶ月(95%信頼区間:5.52-13.86ヶ月)、1年無無増悪生存率(PFS)は既治療群25.8%(95%信頼区間:15.9%-36.9%)、未治療群49.7%(95%信頼区間:29.3%-67.1%)を示した。
一方の安全性として、全グレードの有害事象(AE)発症率は84.4%、グレード3または4の有害事象(AE)発症率は35.6%を示した。また、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は抹消浮腫41.6%、吐き気33.2%、血清クレアチニン上昇19.5%、嘔吐18.9%、疲労13.8%、食欲減退12.6%、下痢11.4%。グレード3または4の有害事象(AE)は抹消浮腫7.5%、吐き気1.8%、嘔吐1.8%、疲労3.0%、食欲減退0.9%、下痢0.3%。
以上のGEOMETRY mono-1試験の結果よりJuergen Wolf氏らは以下のように結論を述べている。”METエクソン14スキッピング変異陽性進行非小細胞肺がん患者に対するMET阻害薬Capmatinib(INC280)単剤療法は、客観的奏効率(ORR)40.6%~67.9%を示し、忍容性も問題ありませんでした。”