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ROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者に対するRepotrectinib単剤療法、客観的奏効率39~82%を示す

この記事の3つのポイント
・ROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者が対象の第1相試験
・次世代ROS1/TRK/ALKチロシンキナーゼ阻害薬Repotrectinib単剤療法安全性を検証
・TKI未治療のROS1融合遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者群での客観的奏効率は82%

2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、ROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者に対する次世代ROS1/TRK/ALKチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるRepotrectinib単剤療法の安全性を検証した第1相のTRIDENT-1試験(NCT03093116)の結果がYonsei University HospitalのByoung・Chul Cho氏らにより公表された。

本試験は、チロシンキナーゼ阻害薬未治療および耐性のROS1/TRK/ALK変異陽性進行非小細胞肺がん患者に対してRepotrectinib単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性などを検証した第1相試験である。

本試験が実施された背景として、ROS1融合遺伝子は非小細胞肺がん患者の約1~2%の患者に認められ、現在承認されている分子標的薬はクリゾチニブのみである。次世代ROS1/TRK/ALKチロシンキナーゼ阻害薬であるRepotrectinibは、クリゾチニブに比べて90倍以上のROS1阻害作用がある可能性が示唆されている。非臨床試験では、ROS1のsolvent front変異(SFM)であるG2032Rなど既知のROS1融合遺伝子陽性の耐性変異に対してもRepotrectinibは強力なキナーゼ阻害活性が確認されている。

本試験の結果、チロシンキナーゼ阻害薬未治療のROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者群における客観的奏効率(ORR)は82%(N=9/11人)、奏効持続期間(DOR中央値は未到達(95%信頼区間:5.6-17.7ヶ月)であった。なお、頭蓋内における奏効率は100%(N=3/3人)を示した。

また、チロシンキナーゼ阻害薬既治療のROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者群における客観的奏効率(ORR)は39%(N=7/18人)、ROS1 G2032R変異進行非小細胞肺がん患者群における客観的奏効率(ORR)は40%(N=2/5人)であった。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は目眩56.6%、味覚異常50.6%、呼吸困難30.1%、疲労30.1%、便秘28.9%、知覚異常28.9%、貧血27.7%、吐き気22.9%、咳20.5%。なお、用量制限毒性DLT)は4人の確認されており、目眩3人、呼吸困難1人、低酸素症1人であった。

以上のTRIDENT-1試験の結果よりByoung・Chul Cho氏らは以下のように結論を述べている。”ROS1融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者に対するROS1/TRK/ALKチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるRepotrectinib単剤療法は、客観的奏効率(ORR)39~82%を示し、忍容性も問題ありませんでした。”

Safety and preliminary clinical activity of repotrectinib in patients with advanced ROS1 fusion-positive non-small cell lung cancer (TRIDENT-1 study).(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:9011)

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