・切除不能進行再発大腸がん患者が対象の第3相試験
・一次/二次治療としてのFOLFOXIRI+アバスチン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・一次FOLFOX+アバスチン、二次FOLFIRI+アバスチンの群と比較して、無増悪生存期間を統計学的有意に改善
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、切除不能進行再発大腸がん患者に対する一次治療、二次治療としてのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTRIBE2試験(NCT02339116)の結果がUniversità di Pisa, PisaのChiara Cremolini氏らにより公表された。
TRIBE2試験とは、切除不能進行再発大腸がん患者に対して一次治療としてFOLFOX+アバスチン併用療法、二次治療としてFOLFIRI+アバスチン併用療法を投与するA群、一次治療としてFOLFOXIRI+アバスチン併用療法、二次治療としてFOLFOXIRI+アバスチン併用療法を継続投与するB群、主要評価項目として無増悪生存期間2(PFS2;無作為化より二次治療における病勢進行もしくは死亡までの期間)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間1(PFS1;無作為化より一次治療における病勢進行もしくは死亡までの期間)、全生存期間(OS)、などを比較検証した無作為化の第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
腫瘍部位
A群=右側結腸 38%
B群=右側結腸 38%
転移ステータス
A群=同時性転移 89%
B群=同時性転移 89%
遺伝子変異ステータス
A群=RAS変異型 65%、BRAF変更型 10%
B群=RAS変異型 63%、BRAF変更型 10%
以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値30.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間2(PFS2)中央値はA群17.5ヶ月に対してB群19.1ヶ月、B群で統計学的有意な改善を示した(HR=0.74,95%信頼区間:0.62-0.88,p<0.001)。
また、副次評価項目である無増悪生存期間1(PFS1)中央値はA群9.8ヶ月に対してB群12.0ヶ月、B群で統計学的有意な改善を示した(HR=0.75,95%信頼区間:0.63-0.88,p<0.001)。一次治療における客観的奏効率(ORR)はA群50%に対してB群62%(オッズ比:1.61,95%信頼区間:1.19-2.18,P=0.002)、B群で良好な結果を示した。
なお、全生存期間(OS)に関してはイベント数未達のため未成熟な結果であるが、全生存期間(OS)中央値はA群22.6ヶ月に対してB群27.6ヶ月(HR=0.81,95%信頼区間:0.67-0.98,P=0.033)であり、B群で有意な延長が確認された。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)としては下痢がA群5%に対してB群17%、好中球減少症がA群21%に対してB群50%、発熱性好中球減少症がA群3%に対してB群7%、これらグレード3以上の有害事象(AE)の発現率はB群で有意に高率であった。
以上のTRIBE2試験の結果よりChiara Cremolini氏らは以下のように結論を述べている。”切除不能進行再発大腸がん患者に対する一次治療、二次治療としてのFOLFOXIRI+アバスチン併用療法は、不耐症例でなければFOLFOXIRI+アバスチン併用療法を再導入する臨床的意義のある可能性があることが示唆されました。”