・ホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳がん患者が対象の第2相試験
・術後化学療法としてのイブランス+ホルモン療法の有効性・安全性を検証
・治療関連により治療中止に至った患者は2年間で31%と、治療継続率は良好であった
2019年6月28日、医学誌『Annals of Oncology』にてホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳がん患者に対する術後化学療法としてのサイクリン依存性キナーゼ阻害薬(CDK4/6阻害薬;以下CDK4/6阻害薬)であるパルボシクリブ(商品名イブランス;以下イブランス)+ホルモン療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02040857)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのE L Mayer氏らにより公表された。
本試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳がん(ステージII~III)患者に対する術後化学療法として1日1回イブランス125mgを3週間投与1週休薬+ホルモン療法を2年間投与し、主要評価項目としてイブランスの治療関連中止率(治療期間2年で48%以上の中止率を示した場合は忍容性がないと判断)を検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、CDK4/6阻害薬であるイブランスはホルモン療法との併用によりホルモン受容体陽性HER2陰性転移性乳がん患者の無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することが示されている。以上の背景より、ホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳がん患者に対する術後化学療法としての本治療の有用性が検証された。本試験に登録された162人の患者背景は進行病期がステージIIIが52%、前治療の種類が化学療法80%であった。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。イブランスによる治療が完遂する2年間において102人(63%)の患者が治療中止に至った。その内、治療関連により治療中止に至った患者は50人(31%,95%信頼区間: 24%–39%, P=0.001)、治療関連ではない治療中止に至った患者は10人であった。また、治療開始12ヶ月以内の治療関連により治療中止率は21%(95%信頼区間:14%-27%)であった。
以上の第2相試験の結果よりE L Mayer氏らは以下のように結論を述べている。”ホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳がん患者に対する術後化学療法としてのCDK4/6阻害薬イブランス+ホルモン療法は忍容性に問題なく、多くの患者が2年間の治療を完遂できました。”