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治療歴のあるKRASG12C遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者に対するAMG510、客観的奏効率54%を示す

この記事の3つのポイント
・治療歴のあるKRASG12C遺伝子変異陽性進行性固形がん患者が対象の第1相試験
・経口KRAS阻害薬AMG510単剤療法有効性安全性を検証
・非小細胞肺がん患者群で、客観的奏効率54%を示した

2019年9月8日、アムジェン社のプレスリリースにて治療歴のあるKRASG12C遺伝子変異陽性進行性固形がん患者に対する経口KRAS阻害薬であるAMG510単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03600883)の非小細胞肺がん患者(N=23/34人)の群における結果が公表された。

本試験は、治療歴のあるKRASG12C遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者に対して1日1回AMG510 80mg~960mg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを検証した多施設共同オープンラベルの第1相試験である。

本試験が実施された背景として、RAS遺伝子ファミリーはがん患者の中で最も一般的な遺伝子変異であり、なかでもKRAS遺伝子変異は固形がん患者において確認される。KRAS遺伝子変異であるKRASG12C遺伝子変異は非小細胞肺がん患者の約13%、大腸がん患者の約3~5%、固形がん患者の約1~2%の患者で発生しており、米国では年間30,000人がKRASG12C遺伝子変異を有するがんとして診断されている。それにも関わらず、これまでKRASG12C遺伝子変異を有するがんに対する治療薬の開発はその作用機序的に困難であると考えられていた。以上の背景より、経口KRAS阻害薬であるAMG510単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の有効性評価可能であった23人の内、本試験の最大用量1日1回960mgの治療を受けた患者13人の結果は下記の通りである。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は54%を示し、その奏効の内訳は部分奏効率(PR)54%。病勢コントロール率DCR)は100%を示し、その奏効の内訳は部分奏効率(PR)54%、病勢安定率(SD)46%であった。

一方の主要評価項目である安全性として、安全性評価可能であった34人の患者の中で用量制限毒性DLT)を発症した患者は1人も確認されず、治療関連有害事象(TRAE)により治療中止に至った患者も1人も確認されなかった。また、グレード1/2の治療関連有害事象(TRAE)発症率は26.5%(N=9人)、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は3人(それぞれ貧血、下痢)、グレード4以上の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。

以上の第1相試験の結果より、本試験の治験責任医師であるWashington University School of MedicineのRamaswamy Govindan氏は以下のように述べている。”経口KRAS阻害薬であるAMG510単剤療法は、KRASG12C遺伝子変異は非小細胞肺がん患者のアンメッドメディカルニーズを満たす治療法になり得る可能性が本試験により示唆されました。”

参照元:アムジェン社 プレスリリース

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