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早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法、病理学的完全奏効率を有意に改善

この記事の3つのポイント
・早期トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第3相試験
術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法の有効性安全性を検証
病理学的完全奏効率を統計学的有意に改善

2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第3相のKEYNOTE-522試験(NCT03036488)の結果がBarts Cancer Institute-Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏らにより公表された。

KEYNOTE-522試験とは、早期トリプルネガティブ乳がん患者(N=784人)に対して術前化学療法として3週に1回キイトルーダ200mg+化学療法を投与する群、またはプラセボ+化学療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目としてypT0/Tis/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)を比較検証した第3相試験である。なお、根治切除後の患者に対して術後化学療法としてキイトルーダまたはプラセボ療法を最大9サイクル投与している。

本試験のフォローアップ期間中央値15.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるypT0/Tis/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ+化学療法群64.8%(95%信頼区間:59.9%-69.5%)に対してプラセボ+化学療法群51.2%(95%信頼区間:44.1%-58.3%)、キイトルーダ+化学療法群で病理学的完全奏効率(pCR)は統計学的有意に改善した(P=0.00055)。

また、ypT0/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ+化学療法群59.9%に対してプラセボ+化学療法群45.3%、ypT0/Tis患者群における病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ+化学療法群68.6%に対してプラセボ+化学療法群53.7%をそれぞれ示した。

PD-L1発現率別の病理学的完全奏効率(pCR)は下記の通りである。PD-L1陽性のypT0/Tis/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ+化学療法群68.9%に対してプラセボ+化学療法群54.9%、PD-L1陰性のypT0/Tis/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ+化学療法群45.3%に対してプラセボ+化学療法群30.3%をそれぞれ示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ+化学療法群78.0%に対してプラセボ+化学療法群73.0%、治療関連有害事象(TRAE)関連の死亡率はキイトルーダ+化学療法群0.4%に対してプラセボ+化学療法群0.3%を示した。

以上のKEYNOTE-522試験の結果よりPeter Schmid氏らは以下のように結論を述べている。”早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法は、ypT0/Tis/ypN0患者群における病理学的完全奏効率(pCR)を統計学的有意に改善しました。”

Adding Pembrolizumab to Neoadjuvant Chemotherapy Improves Outcome in Early TNBC[ESMO 2019 Oncology News]

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